text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は過去数多く登場した「透明な」プラレールたちを大特集!非売品や限定品を中心に長年人気のジャンルですが、その歴史はいつから始まったのでしょうか?詳しく見ていきましょう。(編集部)
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プラレールは、実在の鉄道を基にした「おもちゃ」です。60年を超える歴史の中で、実在の車両から架空の車両まで様々な種類が製品化され、そして造型もどんどんリアルになり「ショーティーモデルの鉄道模型のよう」と紹介される例も見かけます。
しかし、リアルになったとはいえおもちゃであることから、リアルな製品だけではなく、架空の車両やデフォルメされた情景なども継続して発売されています。そんな中、「実在車両を架空の仕様にする」というのもプラレールの魅力の一つでしょう。そのやり方としては「オリジナルデザインを施す」「車体にメッキを施す」「クリア成型にする」の3通りが挙げられます。今回はそのうち、「クリア成型」のものについて紹介していきます。
▲「2スピードのぞみ」をクリア成型にした「スケルトンのぞみ号」。非売品なので箱は白一色の無地だ。
プラレールにおけるクリア成型の歴史は古く、パーツ単位で見るなら60年近く前から存在しています。一例を挙げると「ふくせんステーション」の屋根パーツや、少し時代が下ると「ライト付ひかり号」の光前頭などに採用されていますが、その程度でした。
通常品としては、トミカを乗せる前提であるために貨車の一部をクリア成型化し、搭載したトミカが見えるように工夫された「カートレイン」が登場。そして1編成の車体を丸ごとクリア成型にするのは、1999年1月に配布された非売品「スケルトンのぞみ号」からになります。これは300系の車体をクリア成型にし、帯やライトなどの塗装は通常品と同様にしたものの、台車やモーターボックスをオリジナルカラーにした遊び心の塊のような製品です。懸賞の当選品や、通常品のセットのおまけとして世に出回りました。これ以降、主に通常品で発売されている新幹線車両をクリア成型にしたプラレールが非売品としてよく登場するようになりました。
▲ギミックを見やすくするために作られたイーストアイの「カバー」
当初のクリア車体はあくまでも製品のバリエーションといった立ち位置でしたが、透ける構造を生かしたものが現れるようになります。2005年に発売された「サウンド検査イーストアイセット」に入っていたE926形イーストアイの中間車には回転する計器のギミックが組み込まれていましたが、通常の車体を載せていたため車内のギミックが目立ちませんでした。これを解決するため、セット購入時のオマケとして中間車の車体のみをクリア成型にしたものが配布されました。
E4系Maxに代表される連結仕様のプラレールが登場すると、2007年のキャンペーン景品でE4系をクリア車体にしたものが用意されました。連結器の格納・展開ギミックを観察できるとあって、非売品ながら今でも人気のプラレールです。
▲最近では店頭で流通する製品にもクリア車体が使われるようになった。
長らく非売品を中心に展開していたクリア車体のプラレールですが、2020年代に入ってからは通常品でも発売される例が見られるようになりました。2021年から2022年にかけて4車種が発売された「テコロでチャージ!」シリーズでは、既存のプラレールとは異なる充電式モーターを搭載した事により、内部の機構を見やすくするために編成全体をクリア成型としています。車体自体は過去に配布された非売品とほぼ同一ですが、今までは懸賞に当選しないと入手できなかったプラレールを店頭でも買えるという点が話題になりました。
2022年12月に発売された「海鮮おとどけ列車 E7系新幹線かがやき」はかなり変わった製品です。JR東日本のキャンペーン「かにを食べに北陸へ。」で展開されたE7系にズワイガニが跨っているキービジュアルと、北陸新幹線での海産物運搬実証実験の2つを題材とし、付属するカニ・エビ・ブリのフィギュアを無色透明の完全なクリア車体に載せて走らせるという、遊び心満載の内容でした。
2023年3月発売の「銀河ドリームライン C58形239号機 SL銀河」は、2011年に発売された「いっぱいつなごう C58 SL銀河」の再販と思いきや、客車のキハ141形を全て深いクリアブルーで成型しており、実車の「宇宙感」をおもちゃなりのアレンジで演出しています。
長らく通勤電車では無かったクリア成型プラレールですが、2023年のJR東日本のスタンプラリーの抽選品として「E235系山手線(クリアバージョン)」が登場。前面と側面のドア周りをクリアグリーンに、それ以外の箇所はほぼ無色透明とした変わり種です。E235系山手線の通常品はドア開閉仕様となっており、これもギミックを生かしたバリエーション展開と言えます。
まだまだ発展が期待できそうなクリアでスケルトンなプラレールたち。今後はどういったものが出てくるのでしょうか?通常品の動向と同じく、目が離せません。
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