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【網なのは少数派だけど…?】鉄道車両の「網棚」の進化と変遷を見る

2023.07.24

text:鉄道ホビダス編集部

 鉄道で移動する際、使うことも多い「網棚」。大きい荷物を持っている時などに便利ですが、最近の車両は網棚と言う割に「網」ではありません。ここに網棚の進化の歴史を見ることができました。

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■昔は本当に「網」だった

▲昔ながらの「網棚」は本物の紐で編まれた「網」であった。車両は鹿島鉄道キハ430形431。

P:RM

 近年の車両で見かけることはほとんどなくなりましたが、昔の車両は本当に糸の紐で編まれた「網棚」が使われていました。もちろん「網棚」の語源はここから来ています。ただし想像に難くないように、紐で編まれた網棚は耐久性に乏しく、一部が切れてしまった網を見かけることもしばしば。こうした状況もあり、網部分の素材は徐々に改良されていくこととなります。

 また、過去に存在した変わった網棚の一つとして修学旅行専用車両として製造された155系・159系の2系列のもの挙げられます。これらの網棚は各ボックスシートの上に枕木方向に設置されていました。これは修学旅行生たちが乗ることで、一区画あたりの乗客が多くなり、あわせて荷物置き場も大きくする必要があったためでした。

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■進化する網棚

▲東京メトロの17000系の荷棚はガラスのパネル式。透明なことで座っていても荷物の存在がわかるほか、明るい車内空間も実現している。

P:鉄道ホビダス

 その後時代が進むにつれて、網がより強度のある金属製となっていきます。この金属製網の棚は懐かしい方も多いのではないでしょうか?さらに近年になると金属製のパイプ式となったり、ガラスやアルミのパネルで棚としたり、もはや「網」ですらなくなってきたことからか、最近では「荷棚」や「荷物棚」という案内がなされる場合も増えてきています。

 このように年々改良が続けられている網棚ですが、使っていて「昔よりも手が届きやすい」と思ったことはないでしょうか? それもそのはず、近年の鉄道車両では網棚自体の高さが低くなっている傾向にあります。山手線で活躍するE235系を例にとると、先代のE231系500番代と比べて5cmほど低くなっているほか、Osaka Metro中央線用に製造された400系に至っては従来より10cmも下げられており、より多くの人にとって使いやすいように設計されています。

 ただ網棚高さが低くなると、当然ながらシート部分の空間が狭くなるほか、かつて網だった部分をパネル式とすると、室内の明かりがシート部に回りにくくなることも考えられます。それらを避けるためにガラス式として明るさを確保して開放感を演出した車両や、パネル式でも穴を多く設けることで明かりを取り入れるなど、随所に工夫したところが垣間見えます。

 また、網棚を利用すると荷物が手元から離れることで、どうしても忘れ物をしがちです。長距離列車となるとその時間も長くなり尚更でしょう。その一つの対策として、近年は駅の到着前に網棚(荷棚)部分が明るくなる、という機能がついた車両も登場しています。この機能は現在東海道・山陽新幹線や西九州新幹線で活躍するN700Sに実装されています。

 時代や問題に応じて進化をし続けている網棚。車内のこうした細かい部分にも、最新の技術や工夫が盛り込まれています。

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