JR東日本は、将来の労働人口の減少を見据えた仕事の仕組みづくりの一環として、設備・システムの戦略的な更新・強化(システムチェンジ)に取り組んでいる。今回、株式会社プロテリアルと新型トロリ線を共同開発し、摩耗低減および摩耗の許容限界の拡大を実現したと発表した。開発した新型トロリ線は、埼京線の一部区間へ試験導入し、今後、導入エリアを拡大し、人件費、整備費のコストダウンおよびメンテナンスの効率化を目指す。
‘13.10.29 横須賀線 北鎌倉 P:松本 彩
(鉄道投稿情報局より)
■新型トロリ線の開発概要
従来、在来線のトロリ線は、銅を主材にスズを添加した「銅スズ合金トロリ線」を使用してきた。今回、スズに加えて新たにインジウムを添加し、現行品に比べて耐引張荷重を約25%強化した新型トロリ線を開発した。また、新型トロリ線は下表のような本線用と車両基地・側線用を開発している。今回、試験導入するトロリ線は本線用となっている。
(プレスリリースより)
※摩耗は下部から進行し、溝の減り方(なくなり方)で摩耗進捗度を把握できる仕組み。カーブ区間などでは斜めに摩耗が進行するため、摩耗溝は両端 2 ヵ所に設けている。
■導入効果
(1)コストダウン
同品では摩耗を低減できる効果に加えて、トロリ線の張替の目安となる摩耗量の許容限界を拡大する効果があり、張替周期を約1.4倍に伸ばすことが可能になった。現行品で張替周期が20年の線区では7年延伸できるようになり、摩耗が激しく張替周期が短い箇所で人件費・整備費におけるコストダウンが期待できる。
(2)メンテナンス効率化
本線用トロリ線は、上部に新型トロリ線であることを識別できる細い溝を入れることで、架設をスムーズに進められるようになる。車両基地・側線用のトロリ線は、電気・軌道総合検測車が走行しない区間であることを想定し、側面に摩耗管理用の溝を設けることで、摩耗状態を容易に確認できるようになる。
■導入スケジュール
2023年5月中旬から、以下の区間に試験導入した。
(1)埼京線 中浦和~南与野間 740m
(2)埼京線 南与野構内 1,270m
※上記区間以外への導入は、設備の老朽度や導入効果、他設備への影響などを勘案しながら検討する。
(プレスリリースより)