text:RM photo:三ツ矢健太
撮影日:’23.5.5 場所:東京貨物ターミナル
2023年5月5日、東京貨物ターミナルでは「東京貨物ターミナル駅・大井機関区50周年記念フェスタ」という一般向けのイベントを開催しました。機関車の展示が花形ではありますが、ここでは敢えてコンテナ貨車にも着目。現有11形式のうち10形式が間近で見られるチャンスはあまりありません。簡単な実車解説も交えてカタログ的にご紹介しましょう。
■コキ100・101形
▲コキ100形。
▲コキ101形。
JR貨物となって初めての新形式コンテナ車で、今に続く「コキ100系」の始祖に当たります。外部塗色はコンテナブルーと呼ばれた明るい青色を初採用。コキ101+コキ100+コキ100+コキ101の4両ユニットで運用され、中間用のコキ100にはデッキがなく、その分全長も短くなっています。従来のコキ50000形などではデッキ手すり上に設置されていた手ブレーキハンドルは台枠側面に移動しています(突放禁止のため)。製造両数は各132両(66ユニット)です。
■コキ102・103形
▲コキ102形。
▲コキ103形。
コキ100・101形のマイナーチェンジ車で、4両ユニットという考え方も同じです(コキ103が両端、コキ102が中間)。コキ102形のブレーキ装置の電磁弁は奇数号車に集中搭載し、ユニット構成の形式として合理化がなされています。コキ102形にデッキが無く全長が短いという点もコキ100形と同様でした(増備途中で全長が延ばされました)。事実上、コキ100・101と見分けることは非常に困難と言えます。製造両数は各230両(115ユニット)です。
■コキ104形
コキ100系列で初めて1両単体で運用可能とした形式です。デッキを持つことから見た目としてはコキ101・103とよく似ており、やはり見分けは困難です。製造両数は2,948両。
■コキ105形(展示なし)
コキ102・103形の4両ユニットを2両ユニットに改めた形式で、奇数車・偶数車の2両でユニットを組みます。外観は奇数・偶数に関わらずコキ101・103形とよく似ています。製造両数は80両(40ユニット)と比較的少数派で、今回、本形式だけは展示されていませんでした。
■コキ106形
コキ104形のモデルチェンジ車で、台枠強化、荷重増加、ISO40フィートコンテナ積載可能などの特徴があります。台車も従来のFT1形からFT2形となりました。コキ104との見分け方は、台枠強化のため中央部台車脇の斜め下辺の角度が急で、太い部分の長さが長いという点になります。製造両数は1,162両で、この増備の途中で外部塗色がコンテナブルーからグレーに変更されました。
■コキ107形
コキ106形のモデルチェンジ車で、台車はFT3A形へと再度変更。台枠形状が軽量化のために再度コキ104形のように傾斜が浅いものとなっています。一方、手ブレーキハンドルが久しぶりにデッキ上に戻される形になりました。製造両数は2,163両です。
■コキ110形
形式番号が飛び番であることからも分かるようにやや特殊な成り立ち。コキ106形をベースに15フィートコンテナ4個積みができるような設備を持たせたものです。わずか5両の製造で、外部塗色がカラシ色というのが最大の特徴。15フィートコンテナの運用が終了した現在も汎用形式として運用はつづいています。
■コキ200形
ここまで紹介のコキ車はすべて全長約20mで、12フィートコンテナ5個積みを前提とした設計ですが、本形式は全長15mと短く、しかし荷重はむしろアップしており、24ftタンクコンテナ2個、またはISO40フィートコンテナが積載可能(その代わり12フィートコンテナ積載には非対応)。赤くて短い車体は一目瞭然と言えるでしょう。台車はFT3形です。
■コキ73形
既存のコキ200形貨車ではISOコンテナ積載時に車両限界をオーバーする区間に対応するため、小径車輪の台車を装備して従来比-100mmの台枠高さを実現した車両。まだ4両のみの存在です。東北本線(東京(タ)~宇都宮(タ))の4072レ・4073レで機関車次位に連結される場合があり、注目を集めています。台車はFT17形です。
▲コキ200形(右)との台枠高さの違いを見る。コキ73形はデッキ部分の高さが従来車並みで、コンテナ積載部分が一段低くなります。
▲小径車輪のFT17形台車。
◆新刊情報 今回のレイル・マガジンは「貨物列車2023」
毎年5月発売で好評をいただいておりましたレイル・マガジンの「貨物特集」。2023年版も、2022年版に引き続き「丸ごと一冊貨物特集!」のムックとして登場です!
特別付録も、毎年恒例の「JR貨物機関車運用表・機関車運用番号入り 主要路線貨物時刻表」を最新版にアップデートの上で制作。機関車運用をしっかり研究して、撮影に役立てていただければと思います。また時刻表の部分は編集部独自のポリシーによるソートを行ったもので、最も撮影者が多い区間で時刻順に並べ直しており、沿線で列車を待つ時に便利さを実感いただけることでしょう。