185系

特集・コラム

昭和香る地下ホーム、理由は看板!?馬喰町駅と新日本橋駅の魅力に迫る!

2023.01.05

text & photo:芦原やちよ

 総武本線の馬喰町駅と新日本橋駅は1972(昭和47)年に、東京駅へ直通する地下トンネルが開通したと同時に開業した駅です。当時すでに東京の地下には鉄道を中心に様々な施設が点在しており、それらを避けるようにこのトンネルは掘られました。そういった経緯から馬喰町駅は開業当時、「国鉄で一番低い駅」となっていました。

 そんな地下深くに存在するこの2駅ですが、改めて降りてみるとちょっとレトロな雰囲気が魅力的だったりします。今回は1972年の開業当時の姿を色濃く残す馬喰町駅と新日本橋駅のディテールに迫ります。

↓詳しい画像一覧はこちら!↓

※写真は全て2018年7月に撮影されたものになります。

■トンネル内の駅は不思議な雰囲気

 駅を降りてみると、地下ということもありかなり静かです。ただ15両編成の列車が日常的に停車することからホームの長さは非常に長く、また特急も設定される路線であることから「成田エクスプレス」や「しおさい」といった列車の通過も頻繁にあり、その他地下鉄などとはまた趣が少し異なる印象を受けます。地下にありながら、こういった点おいて国鉄(JR)的な路線の性格が出ており、この独特の雰囲気を醸し出しているのではないでしょうか。

 そしてこれは東京駅など、同時期に開業した他の総武・横須賀線の地下駅にも言えることですが、エスカレーターも長いものが稼働しており、先述の事情から地下深くに設けられた駅であることがこういったところから窺い知れます。

■点在するレトロな看板たち

 そして何よりこれらの駅の魅力といえば、恐らく開業時から変わっていないと思われる案内表示の看板たちでしょう。文字の角が丸く処理され、可愛らしくもレトロなフォント(字体)で書かれたこれら案内看板たちは、現代の洗練されたものとはまた違った魅力を持っています。

 そして同じように見えるフォントながらも、看板毎にちょっとずつ形に個性があり、ついつい同じ文字を探し出して比較してみたくなってしまうほど。このように個体差や個性がある看板が、大都市東京の中心部に近いこの駅で今もなお日常的に見ることができます。

 中でも目を引いたのが馬喰町駅のこの「時刻表」と書かれた看板。ちょうどその下にはSuicaグリーン券の券売機が設置されており、それを案内する看板も下に併設されていますが、こちらは見ての通りJR化後に設けられた後天的なもの。こちらは券売機があることを示すピクトグラムと文字はゴシック体という、近年駅でよく見かけるタイプの看板デザイン。対する時刻表案内は、昔ながらの味わい深いフォントで書かれた看板となっています。「共存」することで、この間数十年の駅看板の変化というのが見て取れます。

 東京都心部にありながら、1972年に開業した当時の面影を色濃く残すこれらの駅たち。走る車両は113系からE217系、そしてE235系と次々と代替わりしていますが、こうして変わらないものがあるおかげで、その路線や駅の歴史を感じることができるでしょう。

↓詳しい画像一覧はこちら!↓

  • このエントリーをはてなブックマークに追加