P:Studio EVO
ガソリン専用の貨車タキ1000を牽いたこの編成を見て、特別な列車だと想像できる人は少ないでしょう。タンクに記された「JP-8」の文字を除けば、それほど珍しい光景ではないからです。しかし、このタンク車編成は、ある特別な任務のもと運行されています。
在日米軍基地である横田基地へと航空燃料を運ぶ。
「米タン」と呼ばれるこの貨物列車は、日米の友好関係にも一役買っている重要な編成と言えるのです。
米タンは鶴見線安善駅の南にあるアメリカ軍鶴見貯油施設から、青梅線拝島駅の北にある横田基地まで飛行機の燃料を輸送するタンク列車です。週に1~2回、主に火曜日と木曜日に運転されることが多いようです。
かつては基地がある各地で鉄道による燃料輸送が行われていましたが、代替手段の確立によって次第にその数を減らし、現在では横田基地に向けての1路線のみが稼働しています。
米タンを運転する日は、安善~拝島間で列車をけん引する電気機関車と、安善駅・鶴見貯油施設で使用するディーゼル機関車、拝島駅・横田基地で使用するディーゼル機関車の3両が、新鶴見機関区から出動。電気機関車はEF210形またはEF65、ディーゼル機関車はDD200形がその任にあたっています。
時間的には、朝から昼過ぎにかけて横田基地からのタンク列車を安善駅まで運行し、午後から夕方にかけて安善駅から燃料を積んだタンク列車を横田基地まで運行することが多いようなので、狙って沿線まで出かければ目にすることもできるでしょう。
通過していく貨物列車を見て、「何が積んであるんだろう」といった想像をした経験がある人もいるかと思いますが、こういった特殊な列車が存在することも貨物列車の醍醐味のひとつと言えるのではないでしょうか。
燃料輸送の工程はギャラリーにてご紹介していますので、キャプションとともにご覧ください。
「米タン」各工程の様子はこちらより!
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P:中井琢也