今年2022年は日本の鉄道開業150周年ということで、様々な出版物が目白押しとなっている。「旅と鉄道」誌の増刊である本書は、「日本の鉄道発祥地 150年の軌跡と未来」との副題を付して、横浜に関する様々なトピックを取り上げている。
横浜といえば開業当初の官設鉄道の終点地であるが、それは今の桜木町駅であることも有名な話。その後、今はもう痕跡もない二代目へ移転、さらに短期間で三代目として今の位置となった。また、市内もうひとつの拠点駅と言える新横浜駅も、60年近い歴史の中で著しい変貌を遂げている。この両駅の歴史的変遷を辿る記事が本書のひとつの柱と言えよう。新横浜駅については、おりしも東急・相鉄の相互直通運転という最新トピックスもあってにぎやかだ。
また、「旅鉄」らしい切り口が崎陽軒のシウマイ弁当の記事で、実に10頁が費やされた決定版的な内容。また、歴史を肌で感じる「汽車道鉄さんぽ」と題したルポや、消え去った横浜市電の回顧記事も収録。総じてそつのない、粒揃いの収録内容と感じる。
■発行:天夢人/発売:山と渓谷社
■A4変形判/100ページ/1,650円(税込)