text & photo:鉄道ホビダス編集部
6月19日(日)に東武鉄道の南栗橋車両管区にて開催された「SL大樹3重連イベント」。これは東武鉄道の運行するSLがC11 123を新たに加えて国内で唯一、同形蒸気機関車の3両保有を記念して、旅行商品を購入したツアー客定員400人限定で開催されたものです。
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■復元完了ホヤホヤ!来月運行開始予定のC11 123が先頭!
車両はいよいよ来月の運行開始を控えたC11 123を先頭に、JR北海道から借り受けているC11 207、真岡鉄道から譲渡されたC11 325の順番で3重連を組み、客車5両(12・14系)を牽引するという豪華な内容。運転は南栗橋車両管区内の試運転線を往復するといったもの。出発時には3機それぞれが順番に汽笛を吹鳴して発車し、3重連独特の迫力あるシーンを見ることができました。
■同じ形式でも出自の異なる三者三様のC11
今回3重連運転を行なった東武のC11ですが、同じ形式ながらそれぞれ出自がや見た目が異なる点がポイントです。
●C11 325
325号機は1946(昭和21)に、さまざまな装備が簡略化された戦時設計の4次型として落成した機関車で、現役時代は神奈川県や山形県を中心に活躍していました。1972(昭和47)年に一旦廃車となりましたが、静態保存を経て、1998(平成10)年に真岡鉄道で復活しました。
ですが、さまざまな問題から真岡鉄道での運用が2019(令和元)年に終了。その後東武鉄道へ後述の207号機に続く2機目の動態保存車として譲渡され、各種東武鉄道用の改造工事を施しました。そして2020(令和2)年に火入れ式が行なわれ現在に至ります。ちなみにこの325号機は東武のSL動態保存車の中で唯一、北海道由来ではないC11となります。
●C11 207
207号機は1941(昭和16)年に落成した機関車で、C11の3次型となります。長らく北海道て活躍し、1974(昭和49)年に瀬棚線のSLさよなら列車で引退します。その後は公園での静態保存を経て、JR北海道が2000(平成12)年に動態保存機に選定。同年復活しました。長らく「SLニセコ号」や「SL冬の湿原号」などで同じくJR北海道のC11動態保存機である171号機と共に活躍しましたが、2014(平成26)年をもって道内での営業運転を終了しました。その後、JR北海道から東武鉄道に貸与され、同社初のSL動態保存機として2017(平成29)年より、「SL大樹」として運行しております。
車両の特徴としてはなんといっても「カニ目」と呼ばれる前面両サイドに取り付けられた補助灯が印象的です。これは霧の多い北海道日高地方を走るために取り付けられた装備で、その姿のまま現在でも活躍を続けています。
●C11 123(C111)
今回の3重連運転で先頭を飾った123号機は、1947(昭和22)年に江若鉄道の発注で「C111」として落成した国鉄C11形蒸気機関車の同型機です。その後北海道内の鉄道路線を転々とし客車・貨物列車の牽引に従事しました。1975(昭和50)年に廃車されてからは、同じく北海道内の個人が保存していましたが、2018(平成30)年に東武鉄道へ譲渡され、2019(平成31)年から復元工事が開始。コロナ禍の関係で2020(令和2)年の復活予定が延期されたりはしたものの、車番を「C111」から「C11 123」に改めた上で、2021(令和3)年には火入れ式が行なわれました。そして来月7月18日(月・祝)からいよいよ営業運転デビューをする予定です。
ちなみに「123号機」という数字は車両番号が決定した2020年度に東武鉄道が123周年を迎えたことに由来するもので、1・2・3という数字をホップ、ステップ、ジャンプと意味付けし、さらなる飛躍を機番で表現しています。
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