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いわば「宙に浮いて回転するコマ」! 世界初の超電導フライホイール蓄電システム、実証実験開始!

2022.06.08

 JR 東日本では「ゼロカーボン・チャレンジ 2050」達成に向け、「つくる~送る・ためる~使う」のエネルギーネットワークのすべてのフェーズで技術イノベーションを推進している。

▲超電導フライホイール蓄電システム

 上記のうち、「ためる」のフェーズにおいて、電車のブレーキ時に発生する回生電力エネルギーを有効に活用するため、蓄電媒体の導入を行っているが、そのひとつとして超電導技術を活用したフライホイール蓄電システムの開発に、JR 東日本研究開発センター環境技術研究所で取り組んでいる。

 試験設備が中央本線穴山変電所に完成し、2022年6月8日より世界初の鉄道用超電導フライホイール蓄電システムの実証試験を開始する。

鉄道用超電導フライホイール蓄電システムについて
システムの概要
 回生電力エネルギーとは、電車のブレーキ時に電動機を逆回転させて発生する電力を架線に戻し、それを力行中の他の列車に消費してもらう仕組み。回生の仕組みがない場合は、列車減速時のエネルギーは最終的に主に熱として大気中に放出される。それに比べればかなり省エネになるだけでなく、ブレーキパッドの消耗を避けることも可能で、現代では広く用いられている。
 しかし、同じ変電所区間に他の列車がいない場合にはエネルギーが活用されず、ブレーキ能力としても効かない(回生失効という)ため、そのエネルギーを地上に設置した蓄電池に貯めて有効活用する取り組みを行っている。
 フライホイール蓄電システムは、通常の電解質を用いた蓄電池と異なり、装置の内部にある大型の円盤であるフライホイールロータが回転することで、発電電動機を介して回生電力エネルギーを運動エネルギーとして貯蔵(充電)し、必要に応じてエネルギーを放出(放電)するシステムで、年間の省エネ効果は 146MWh/年。また、充放電の繰り返しによって性能が劣化せず、有害物質を含まない構造のため、環境に優しい特徴がある。
 本システムでは、さらにフライホイールロータの荷重を受ける軸受け部分に超電導技術(超電導磁気軸受)を採用することで非接触とし、メンテナンスコストの削減、エネルギー損失の低減を図っている。超電導リニアと同じで、本体が宙に浮いている状態となるわけだ。なお、超電導フライホイール蓄電システムの鉄道への応用は世界初となる。

システムの機能
 本システムでは、下り勾配を走行する列車から回生電力エネルギーを運動エネルギーとして貯蔵し、上り勾配を登坂走行する列車にエネルギーを放出する。本システムのエネルギーにより登坂走行をアシストするため、変電所から送電する電力を削減することが可能となる。

実証試験について
 本システムは、勾配を走行する列車のエネルギーを活用することから、中央本線穴山駅に隣接する穴山変電所に設置した。2022年6月より、穴山駅付近を走行する列車走行時の充放電を実施し、充放電特性およびシステムの有効性の検証を行い、将来の実装を目指す。

▲穴山駅そばに設置された実験棟(写真中央やや下の大きなテント状建屋)

画像・図版提供:JR東日本

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