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特集・コラム

「映えるため」のジオラマ!全部作らない鉄道模型の情景撮影法を伝授!

2022.06.08

text & photo:根本貫史(RMM)

 最近は、特別な機材を用意しなくとも簡単にスマートフォンのカメラで模型の写真を楽しめるようになりました。ライティングを考慮すればより雑誌に載るような綺麗な写真が撮れます。ですが、鉄道模型の情景撮影となると形式写真とは異なり、その舞台となる「ジオラマ」が必須となります。でも実は完全に作り込まなくても撮影が できてしまう…今回はそんなお話です。

■「100均ジオラマ」を 使った室内撮影

▲簡易撮影台による撮影例。「晴天の屋外」という設定 だが全体的にやや暗い印象となる。これは「屋外」を表 現するには決定的に光量が不足しており、陰影がない ので車両の立体感も乏しい。さらに前寄りの台車が脱線している。撮影では稀にある凡ミスなので、撮影前に台車やパンタは入念にチェックすること。

◆記事で使用した100均ジオラマの作り方はこちら
100均素材だけで鉄道模型のNゲージジオラマ製作に挑戦!

 最初は過去記事で毎度使用している簡易撮影台 (ディフューズボックス)を使っての室内による 情景撮影をしてみましょう。基本としてはこれま での形式写真と同様ですが、ここで不足するのが 「屋外」らしさを表現するために必要な十分な光量のある「照明」です。上の撮影例のように“一応”は撮れますが、「晴天の屋外」にしては光量が暗く、 車両の立体感もあまり感じられません。

■屋外並の光量を出すには 「屋外」に持ち出そう!

 屋外のような光量を室内で演出するには、「太陽」となる照明を追加することでも解消できますが、機材やテクニックが必要となりますが、今回は最も手っ取り早い方法、ズバリ「屋外」での撮影です。
 屋外では簡易撮影台(ディフューズボックス) は不要で、照明は「太陽光(自然光)」となります。 上記写真は日陰で撮影したものですが、上の室内撮影より全体に光が回って明るく撮影ができます。

■背景は実際の「空」 太陽光を浴びて撮影!

 今度は背景を実際の「空」を使用し、太陽光下で撮影します。実物の背景を使うのは「借景」という 技法で、太陽光と相俟って実感的な光量と色相(季節や時間で感じられる「空気感」)が得られます。
 また、上の2つの撮影例と大きく異なるのが陰影の付き方で、1点から照射される強い太陽光を浴びることで、車両やジオラマの陰影がより明確になり、立体感が強調されます。 これが屋外撮影がリアルに見える最大のポイントです。

■「撮影用」ジオラマを 「即席」で作る!

 「ジオラマ」となると決められたベース内に情 景を表現しますが、これを「撮影用」と割り切ってしまえば、実は全てを作り込む必要がありません。「手抜き」と思われるかもしれませんが、これは「特撮」でも用いられる技法で、決められた画角(ファインダーや画面)のみに絞って、即席で風景を演出する方法です。これなら作り込む範囲が最小限で済み、より自由度の高い風景演出が可能です。

◆前回の形式写真の撮り方はこちら!
背景が決め手!誰でも簡単にカッコいいNゲージの写真を「スマホで」撮る。

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