modeling & making photo & text:瀧口宜慎(RMM)
photo(完成作例):青柳 明(RMM)
鉄道模型で路面電車を遊ぼうとすると、どうしても1:150スケール、9mmというNゲージとして統一された規格ながらも、他の鉄道からは独立した世界観で遊んでしまいがちに思います。ですが、JRや私鉄などの一般鉄道の車両で慣れ親しんだモデラーとしては、従来から持っている車両や線路と関連付けて遊びたいという願望が湧き上がってきました。今回はそんなテーマのもと、南北直通をした富山ライトレールと富山地鉄市内線をモチーフに賑やかな駅の風景を製作してみました。
■普通鉄道の車両と路面電車の車両、両方楽しみたい!
ユニトラムのコンセプトのひとつに、従来のレイアウトやジオタウンなどの中に組み入れて、JRなどの本線とは別に動くストラクチャーとして楽しむというものがありました。そんな話を思い出し、それならばユニトラムのプレート自体を駅周辺そのものとし、中央のストラクチャースペースに高架駅を配置して、ライトレールが行き交い賑わう駅前を作り、そして高架にはJRの列車が往来する…という情景をイメージしました。
■駅舎を切り詰め加工
用意したものはユニトラムスターターセット、それと同じKATOの高架駅セット×2、近郊型島式ホームセット×2、レールにV1島式ホーム用電動ポイントセット×2を基本に、必要に応じて直線レールや高架線線路を組み合わせました。
駅舎がユニトラックの直線レール248mmを基準とした寸法に対し、ユニトラムのストラクチャースペースは224×348mmという寸法。長手方向では問題ないのですが、高架駅直下に電停を収めたいため、224mmの幅を横切る形で駅舎を配置したく、印象を損なわないように左右12mmずつ切り詰めました。同時に、ユニトラムのエキストラスペース(幅112mm)にも高架駅店舗を設置するため、124mmの店舗を同じく12mm切り詰める加工をしました。
▲駅舎をレザーソーで切断。一つ一つの作業には水平、垂直、直線など切断面の仕上がりに気を配りながら進める。
▲12mmずつ詰めて接着し、完全に固まったら窓開口部を広げる。これもカッターナイフでケガキ彫りをしてヤスリなどで慎重に仕上げる。
加工は、駅舎本体と中敷になる2階床部分・1階床部分を組立と窓ガラスのはめ込みに影響の出ない場所でケガき、レザーソーでそれぞれ4箇所切断。12mm中抜きして再度接着しました。窓ガラスもそのままでは合わなくなる箇所があるので、一体のものは壁に隠れる部分を切断し、さらに、見える部分は冊子の脇を傷が付かないよう慎重に切断し切り詰めて、駅舎自体も窓開口部を広げ直しました。
駅舎と側壁は加工の跡を隠すためと真新しい建物の雰囲気を出すため、GSIクレオスのベースホワイト1000で塗装し、最後に窓ガラスをはめてそれぞれのパーツを組み立て完成しました。
■賑やかな駅周辺へ
全てのストラクチャーの加工が済んだら、高架駅舎をユニトラムプレート状に配置して仕上げとしました。この作例ではJR線をディスプレイとすると、路面電車を走らせるのみのデスクトップレイアウトとして楽しめ、さらに高架線に延長プレートや各種高架線路を接続すれば、フロアレイアウトの情景として楽しむことができます。
どちらか一方ではなく、両方楽しむ。これもまた鉄道模型の楽しみ方の一つなのかもしれませんね。
※記事は『RM MODELS175号 2010年3月号』掲載時点での情報になります。ご了承ください。