185系

特集・コラム

登場時は青帯だった! ありがとう、JR東海211系0番代

2022.03.07

text:RM

 JR東海の話題の新系列通勤型電車315系が、3月5日から営業運転を開始しました。これに伴う動きとして、神領車両区の211系0番代(4連×2本)がこの3月中に引退となり、JR東海からはついに国鉄から継承した車両が完全にいなくなることになります。これはもちろん、JR全社を通じて初のことです。

▲315系の報道公開時、神領車両区で並べられた211系K51編成。

’21.12.3 神領車両区 P:RM

▲2022年3月に入り、惜別の編成札が前面窓の内側に取り付けられた。

‘22.3.3 関西本線 名古屋 P:横田篤史
(鉄道投稿情報局より

 この8両は、JR東海がJR移行後に新製した5000・6000番代とは明らかに異なる点が多く、運用も独立していました。具体的には、0番代の車内はセミクロスシートであるのに対し、5000・6000番代はオールロングシート。また、屋上に搭載されたクーラーが0番代は集中型AU75系列であるのに対し、5000・6000番代はC-AU711形×2基。さらに、編成両数は0番代が4連オンリーであるのに対し、5000・6000番代は2・3・4連とバラエティに富んでいました。

▲登場時の青帯時代の211系。非常にフレッシュな印象を振りまいており、相次いでNゲージメーカーからも製品化された。

P:栗原昭宏(レイル・マガジン1987年1月号〔37号〕より

 さらにもうひとつ際立つエピソードとして、この8両は、1986年10月の登場時にはラインカラーが青帯(正確には、青帯の中に細い白帯が入った凝ったもの)だったことが挙げられます。先んじて投入が進んでいた田町電車区・新前橋電車区の0・1000・2000・3000番代は113・115系から継承した湘南色の帯を巻いていたのに対し、中京地区用211系はこの時点では際立つ違いを持っていたと言えるでしょう。そもそも投入された目的は、当時117系で運転されていた新快速の増発用というものでした。

20180312181538-9a2d9839ed971bc4b635fb0de65b1556d014a189.jpg

▲パンタグラフは当初の菱形から後年にシングルアーム化されていた。

‘18.3.10 関西本線 永和~弥富 P:中村智徳
(今日の一枚より

 しかし、JR東海になって独自に開発された5000・6000番代は同社コーポレートカラーのオレンジ色が入る湘南色帯を再びまとうこととなり、0番代8両もそれに合わせるように1988年年末までに湘南色帯に変更されました。結果的には青帯時代は2年間ほどの短期であったことになります。

▲下廻りをグレー塗装とするのは、1990年代以降のJR東海車の特徴だった。

‘21.7.21 関西本線 弥富~永和 P:村中淳一
(今日の一枚より

▲JR東海の211系で、集中型のAU75系列クーラーを搭載していたのは0番代の8両のみ。

‘21.4.27 関西本線 井田川~加佐登 P:藪下茂樹
(今日の一枚より

 近年は神領車両区所属で、関西本線でのラッシュ時運用のみというやや寂しい稼働状況でした。そして2022年3月5・6日に最終運行が行われ、3月7日、西浜松へ8連を組んで自力回送されており、これにて廃車になると思われます。

関連記事
JR東海211系0番代 運行終了そして廃車回送

  • このエントリーをはてなブックマークに追加