1954(昭和29)年と1955(昭和30)年に旧信濃鉄道(現・大糸線)の木造車体の社形(買収)国電を買い受け、モハ5260形5262および5263として入線した。5262は1500V仕様で傍陽線に、5263は別所線用として750Vと1500Vの複電圧仕様として配属された。1960(昭和35)年に老朽化した木造車体を更新するため、東急碑文谷工場で小田急電鉄クハ1651形電車の車体を換装し、モハ5370形5371および5372となった。換装工事に際しては、小田急から流用した車体を両運転台化のうえ、両端の客用扉を窓一つ分中央に寄せると共に、木造車であったために厚みのある台枠を隠すため、車体裾部を延長し、裾の長いスタイルとなった。改造後の2輌は別所線に集結し、定員の多いことから朝夕の混雑時に使用され、総括制御が可能であったため混雑時には制御車のクハ290形を連結して運用されたが、別所線の1500V昇圧となる前日の1986(昭和61)年9月30日まで運用されたのち、昇圧当日の10月1日付で廃車となった。 ’83.3.30 中塩田 P:前 直也