近鉄では、来年の寅年を迎えるにあたり、西信貴(にししぎ)ケーブル(信貴山口~高安山間)におけるケーブルカーの車体補修工事を行うとともに、デザインを復刻塗装に変更した。外装のリニューアルは12年ぶりで、9月17日より2台〔赤色=7号車と青色=8号車)が揃って運転を開始している。
▲レトロ調の塗り分けが逆に新鮮。左が8号車、右が7号車。画像提供:近畿日本鉄道
近鉄では、生駒山エリアにおいて「レトロ」をテーマにした地域ブランディングによる活性化に取り組み、ケーブルカーを「レトロ」な乗り物と発信していく計画で、西信貴ケーブルカーも復刻塗装(1957~87年の塗装を再現)とすることで「レトロ」な魅力と親しみを持ってもらいたいとのこと。
▲上が7号車(ずいうん)、下が8号車(しょううん)。(プレスリリースより)
▲信貴山毘沙門天に縁の深い寅に因んだ、新しい寅のヘッドマーク。同じイラストが側面にもラッピングされている。(プレスリリースより)
■西信貴鋼索線(西信貴ケーブル)の沿革
1930年12月15日、信貴山電鉄が大阪から約40分で信貴山に至る最短ルートとして、高安山から信貴山門の平坦線(山上鉄道線)と同時に、信貴鋼索線の名で開通、既設の信貴生駒電鉄の鋼索線(後の東信貴鋼索線・1983年廃止)とともに信貴山を訪れる参拝客に利用された。その後、信貴鋼索線は戦時中(1944年)に撤去されたが、1957年に近畿日本鉄道の信貴鋼索線として復活。現在の2両の車両はこの時に日立製作所によって製造されたものである。1964年の信貴生駒電鉄との合併時に、西信貴鋼索線に名称変更を行った。
信貴山口(しぎさんぐち)~高安山(たかやすやま)間の営業キロ程は1.3km、高低差354m、勾配は170~480‰と、近鉄の鋼索線では最も勾配が急な路線である。片道の所要時間は7分。信貴山に縁があるとされる寅が干支になった年は例年より2~3倍の乗客で賑わう。
▲直近までは、2両とも虎をモチーフとした黄色に模様が描かれた塗色だった。
P:高橋一嘉(台車近影より)