京王電鉄は、自動運転設備を活用したワンマン運転の実現に向けて、井の頭線において3月中旬から、自動運転(ワンマン運転)の実証試験を開始する。
本試験では、自動運転設備を搭載した井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、3月中旬から回送列車で走行試験を開始する。詳細は以下の通り。
▲京王1000系、自動運転対応車の外観
■本試験のポイント
・出発制御や駅間走行制御、定位置停止制御(TASC)などの自動運転システムを備えるほか、ブレーキ制御機能などを向上させ、安全性・省エネ性の向上を図る。
・多言語表記が可能な車内案内表示器に更新するほか、自動運転機能搭載車両を区別できるように、車体デザインも変更しアクセントラインやシンボルマークを追加する。
・自動運転設備を搭載した井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、3月中旬から回送列車で走行試験を開始する。
■自動運転システムについて
自動運転システムは、自動列車制御装置(ATC)※注1の指示速度以下となるように目標速度を定め、自動的に加速・減速制御する機能を備える。また、旅客が安心して乗車できるよう、車内案内システムの更新や車体デザインの変更なども行なう。
注1:自動列車制御装置(ATC)とは、先行列車との間隔や曲線、分岐、下り勾配、停車駅など様々な条件をもとに、常に適正な速度で走行するよう列車をきめ細かく制御する装置。
●自動走行機能
〇出発制御
ATCが進行を示し、ホームドア・車両扉が全て閉まるなどの条件を満たしたときに、出発ボタンを操作することで列車が出発する。
〇駅間走行制御
ATCの指示速度のほか、予め記憶している曲線などの線路条件により定めた走行パターンに従って乗り心地の良い運転を行なう。踏切などの異常時においてもATCにより自動的に停止するほか、運転士による手動ブレーキ操作を受け付けることで適切に対応する。また、惰行走行が多くなるように制御することで省エネ運転も目指す。
〇定位置停止制御(TASC)
停車駅が近づくと、駅の定位置停止パターンを発生させ、列車を自動的に定位置に停車させる。停車後に、運転士用ドアスイッチにより車両の扉とホームドアが連動して開閉する。
● 通過駅強制停車ボタン
車内トラブルの発生時に乗務員が操作することで、最寄りの駅に強制的・自動的に定位置に停車させる機能を導入する。そして、この機能を操作すると自動的に車内ビジョンに「近くの駅に停車します」との表示がなされる。
▲「通過駅強制停車」ボタン
▲「通過駅強制停車」機能動作時の車内ビジョンの表示イメージ
●車内案内システム更新
多言語表記が可能な車内案内表示器に更新するほか、開いているドアをチャイム音で知らせる装置を設置する。
▲更新後の車内案内システムのイメージ
●ブレーキ制御機能向上
従来の7段階から28段階にすることで、きめ細やかなブレーキ操作を実現し、停止精度と乗り心地向上を図る。
●車体デザインの変更
ホームドア整備に伴い、ピクトグラム(車いすステッカー・ベビーカーステッカー)・正面の車両番号をより見やすくなるよう上部に移設するほか、自動運転設備搭載車両を区別するために、車体外観にアクセントライン・シンボルマークを追加する。これらは若手社員が考案したデザインで、シンボルマークは井の頭線の「井」の字がモチーフとなっており、編成ごとのカラー名称もあしらわれる。また、今回の改造に合わせ、乗務員室と客室間の仕切り窓を一部拡大し、子供が前面展望を楽しめるようにする。
▲各種改造の様子(以上、画像はすべて京王電鉄公式プレスリリーフPDFより)
■実証実験の概要
●試験目的
自動運転システムの安全性・安定性、及び自動運転時に乗務員が行う業務・動作等の確認
●試験開始時期
3月中旬から
●試験編成
1778編成(順次増備予定)
●試験場所
井の頭線全線(営業キロ12.7km)
●試験方法
井の頭線1000系を走行試験車両として使用し、回送列車にて運転士と車掌が乗務した状態で実施する。
※昼間、夜間ともに試験を行なう。なお、当面の間、当該車両を通常の営業運転に使用する場合は、運転士・車掌が乗務し、運転士による手動運転を行なう。