近鉄グループである近畿車輛は、2017年5月から2021年2月にかけて、カタール国カタールレール公社に対し、同国で初めてとなる地下鉄ドーハメトロの車両を、全330両(110編成)納入した。ドーハメトロは、2022年11月20日から開催されるサッカーW杯に合わせて整備され、都市を中心にスタジアムや空港にもアクセスできるため、海外からの訪問客にも多く利用されている。
近畿車輛がデザインを行い、設計・製造したこの車両は、2017年に国際的なデザイン賞であるiFデザイン賞およびRed Dotデザイン賞を、2018年にはGerman Design賞の「Winner」を受賞しており、デザイン面においても高い評価を獲得している。
ドーハメトロ車両(プレスリリースより)
◎ドーハメトロ 車両の概要
■運行開始日:2019年5月8日
■投入線区:レッドライン、グリーンライン、ゴールドライン
■納入車両数:3両×110編成 計330両
■車両の詳細
(1) コンセプト…これまでの鉄道車両とは異なる新しいもので、かつドーハメトロらしさを有する車両。
(2) デザイン…内外装ともにカタール国の伝統的な建築や工芸品の意匠を取り入れ、同国とその首都ドーハに住む人々の文化的アイデンティティを表現しながら先進的なイメージにまとめている。内装レイアウトではイスラム教の慣習に配慮し、「ゴールドクラス」「ファミリークラス」「スタンダードクラス」という3種類の異なる客層を想定した客室を設けた。
(3) 性能…第三軌条集電方式を採用しており、運転最高速度は100km/h。運行は、全自動無人運転となっている。
◎ドーハメトロについて
ドーハメトロは、カタールの首都ドーハを運行するカタールレール公社の鉄道システムで、駅数は37駅、路線長は約76kmにもおよび、大半がトンネル区間となる。同鉄道は、2022年に開催されるサッカーW杯に合わせて整備され、レッドライン、グリーンライン、ゴールドラインの3路線からなり、ドーハ国際空港や、市内主要部を結ぶなど重要な交通インフラとして位置づけられている。