福岡を中心に鉄道やバスの模型やグッズを展開するワンマイル代表の手嶋康人氏は、これまで20年以上に渡り、ボランティアとして、仕事として、人生のライフワークとして鉄道の保存に携わり、全国各地の保存事例や組織を見てきたという。
その中で必ず付いて回るのが「土地」の問題で、場合によってはそれによって残念ながら継続出来なかった事例も多く見てきた。それで痛感したことが、今「鉄道を保存する」ことを第一目的として自前の土地を用意しなければ継続は難しいということ。
そこで今回、新しい取り組みとして保存のための場所を作るという実験を始める。2022年8月に有志で土地を購入、ここに私設の鉄道保存施設を作り、危機に瀕する車両の受け入れを目指す。その名も「保存車輌ヤード福岡」。将来は全国に同様な施設を作る夢の第一歩とする。
▲草木が生い茂っていた土地だが、木を切り倒し、草を刈っていったところ。(CFのWEBサイトより)
土地は有志の共同所有とし、運営は株式会社ワンマイルで請けて継続した取り組みを行う。本施設は見学や活動には有料利用とするが、クラウドファンディングに参加した方は会員として自由に敷地に入って撮影や体験が出来る。施設は柵で囲って、防犯カメラも設置。他団体からの保存車両の預かりも行う。
▲資材の第一弾として、かしいかえんで621号・324号の下に引いてあった線路や須恵で507号が乗っていた線路や敷石が搬入されている。(CFのWEBサイトより)
これらの整備費用に充てるため、クラウドファンディングによって資金を募っている。レール資材の購入費と、自分達では出来ない重機を用いた整地などの費用を捻出する計画で、年会員になってもらうことで、継続した利用と資金の供給を…という趣旨だ。
期限は設けておらず、継続して課金を募集し、徐々に資材を購入し線路を延ばしていくとのこと。
▲筑豊本線・筑前山家駅近くの線路沿いの土地。初回はこの敷地に1067mm,1435mmの軌道を3本敷設する。(CFのWEBサイトより)
■募集コース
5,000、10,000、50,000、100,000、500,000円の各コースの他、各種
■共通特典
・搬入車両の予定日が通知される。
・会員期間中はプレオープン時に撮影会などを開催し、自由に見ることができる日を設定する予定。
・会員用パスケースを進呈。
■CF提供サイトについて
このCFは株式会社ワンマイル が運営する『保存鉄道組合総連合会』がサービス提供するもの。鉄道保存を行っている団体が自ら運営することで、手数料を一般のCFサイトと比較して非常に少ない最小5%とし、寄付金が出来るだけ多く保存団体へ渡る仕組みとなっている。これまで保存実績のある団体や個人のプロジェクトを厳選して公開することで、寄付金が確実に保存へ使われるようにする。
参加団体同士の相互交流を通して、技術の交流、物品の流通と貸し借り、相互作業参加など様々なプロジェクトに関わることで日本全体の鉄道保存の発展に寄与していくというのを目的としている。
【編集部追記】上記の通り、いわゆる大手のCF提供サイトとは異なり、保存主体者自身がCFを運営するため、出資者もできれば「お客様感覚」ではなく、ご自身が保存の主体者の一員となる思いを込めて参加していただければと思います。