学校法人芝浦工業大は、芝浦工業大学附属中学高等学校100周年記念事業の一環として、西武鉄道より元鉄道院403号蒸気機関車の寄贈を受けることになったと発表した。2022年11月より新豊洲校地にて一般公開するとのこと。
公開展示予想図(芝浦工業大学附属中学高等学校 校地・プレスリリースより)
そもそも芝浦工業大学附属中学高等学校は、鉄道省(鉄道院の後身、のちの日本国有鉄道、現JR各社の前身)の日本鉄道開業50周年記念事業の一つとして1922(大正11)年、東京市麹町区に「東京鐡道中学」を前身として開校されたもの。この縁をもとに、鉄道院時代に403号機として走行し、のちに川越鉄道(現 西武鉄道)にて4号機関車として活躍後、保管されていた当蒸気機関車の寄贈を受けることになったものだ。
2008年のイベントで公開された時の姿。’08.10.5 西武鉄道 横瀬車両基地 P:寺尾武士
■元鉄道院403号機関車概要
1886(明治19)年に英国・ナスミス・ウィルソン社で製造・輸入された機関車。軸配置は1B1、テンダーを持たないタンク式機関車で、一般に「A8」系と呼ばれる一派の1両。当初民間の日本鉄道(後の東北本線や山手線ほか)、次いで房総鉄道(後の外房線)で活躍した後、国有化され400形403号となった。後に川越鉄道(後の西武新宿線)に払い下げられて5号機(後に4号機に改番)となり、西武時代は是政線(後の多摩川線)で砂利輸送に当たった。1961年に上武鉄道(日本ニッケル鉄道、現・廃止)に譲渡され、1965年に最終的な廃車。西武鉄道に買い戻され、一時期はユネスコ村で展示された後、直近では長いこと横瀬車両基地で保管されていたが、イベントなどでも公開される機会が少なかった。
同じく西武鉄道で保存(保谷電留線にて)されている5号機も同じナスミス・ウィルソン社製のA8系で、上武鉄道に在籍歴がある点も同じである。
○形式:タンク式
○車輪配置:1B1型(先輪1-動輪2―従輪1)
○製造年:1886年
○製造所:ナスミス・ウィルソン(Nasmyth Wilson) イギリス製
○機関車重量:約27t
○機関車全長:約9m