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「第二種鉄道事業」ってなに…? 長崎本線(肥前山口~諫早間)の上下分離方式とは

2022.02.01

 JR九州では、2022年度秋頃の西九州新幹線開業に伴い、長崎本線(肥前山口~諫早間)を上下分離方式により運行することを佐賀県、長崎県との三者で2007年12月16日に合意していたが、当該区間における第二種鉄道事業が、2022年1月31日に許可されたと発表した。 佐賀・長崎鉄道管理センターも、当該区間における第三種鉄道事業許可を同日付で受けている。

‘21.10.3 長崎本線 多良~肥前大浦 P:東迫和孝
今日の一枚より

 ここで、第○種鉄道事業、という用語について、ごく簡単に説明しよう。

(1) 第一種鉄道事業…自社が保有する路線を使って、自ら運送営業を行う事業。一般的にイメージされる鉄道会社はこの形態。

(2) 第二種鉄道事業…他人が所有する線路を使って運送営業する事業を指す。我々レイル・ファンにとってイメージしやすいのはJR貨物で、大部分の営業路線はJR旅客会社が所有する線路を使用している。

(3) 第三種鉄道事業…鉄道線路を敷設して第二種鉄道事業に使用させる事業のこと。鉄道会社のほか、地方自治体なども事業を営むことができる。

 今回の長崎本線(肥前山口~諫早間)は、現時点ではJR九州が第一種鉄道事業として営業を行っているが、新幹線開業に伴い、施設等を関係自治体である佐賀県・長崎県に譲渡し、自らは運営のみ担う第二種鉄道事業に移行することになる。一方の佐賀県・長崎県側では、「佐賀・長崎鉄道管理センター」という組織を立ち上げ、ここが施設を保有、すなわち第三種鉄道事業者となる。このように、施設の所有者と実際の運営者が異なる方式を「上下分離方式」と呼ぶ。JRにとっては施設保有に関わるコストが削減でき、一方自治体側では営業の人員およびノウハウを持つJRに引き続き運営を任せることができるというメリットがある。

(プレスリリースより)

第二種鉄道事業許可区間
 長崎本線肥前山口~諫早間
 14駅 60.8km
 ※駅数は、肥前山口駅と諫早駅を除く駅数

上下分離方式による営業開始日
 2022年秋頃
 ※西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)開業日

 通常、整備新幹線が開業すると並行在来線は地元自治体が出資する第三セクター鉄道に移管されることが多い。このように上下分離方式で引き続きJRが運行を担うケースは初めてだ。これは、西九州新幹線が既存在来線とはかなり離れた位置にあること、また、開業によるメリットが相対的に少ない佐賀県に配慮したものである(当該区間のうち、肥前山口~肥前大浦間が佐賀県内)。

 合意文書によれば、開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持し、また開業後23年間、運行を維持することが明記されている。

 なお、肥前山口駅は、西九州新幹線開業と同時に「江北(こうほく)」駅に駅名変更されることが、2021年4月に発表済である。

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