text & photo:RM
取材日:’21.12.6 場所:旭川運転所
取材協力:北海道旅客鉄道
JR北海道では、国鉄時代に登場して現在まで活躍してきたラッセル式除雪用ディーゼル機関車DE15形の置き換え用として、ラッセル式除雪用気動車キヤ291形を開発。12月6日に報道公開された。
▲複線用の片流れのラッセル装置を前後に固定式で備えたキヤ291形。
DE15形との大きな違いとして、機関車ではなく気動車という扱いになっていることが挙げられる。その狙いについては明確な発表が今のところ行われていないが、近年機関車自体の両数および運用が減っており、機関車の操縦に必要な資格を持つ乗務員の養成がJR旅客会社においては負担になっているから…と推測される。JR西日本の同じラッセル式除雪用気動車キヤ143形とも同じ狙いと言うことができるだろう。
▲DE15形(右)と比べると、圧倒的に全長が短くなっているが、除雪能力は同等だ。車体形状やラッセル装置が別体かどうかといった違いも目立つ。
また、DE15形のラッセル装置は独立した台車を持ち、不要時は切り離して機関車単体で他の運用に就くことも可能であったが、今回のキヤ291形ではラッセル装置は本体に固定されており、除雪以外の用途での運用は想定されていない(JR西日本キヤ143形はラッセル装置の取り外し可能)。
▲ラッセル装置を正面および左右から観察する。基本的な形状はDE15形のそれともよく似ている。
キヤ291形の主翼、補助翼、フランジャー、アイスカッターの動作シーンです。 pic.twitter.com/qyWp5V7wTr
— Rail Magazine(レイル・マガジン)【公式】 (@RM_nekopub) December 6, 2021
本体は2軸ボギー台車を2組備えた4軸車となっている。車体は箱型の機能本位な形態だ。
▲車体中央部に大きく記された「Vermilion Russel」のロゴが勇ましい。
その他の同形の特徴としては…
・除雪性能はDE15形と同等。
▲台車形式はN-DT291形。全軸駆動となっている。
▲データデポの車上子。枕木に設置した地上子からの位置情報を受信して、自車の位置を把握している。
・GPSによる除雪車両操作支援装置を搭載。
・除雪装置の状態を撮影するカメラを搭載し、運転室内で確認可能。
・除雪装置やエンジンなど、車両の現在の動作状況を画面に表示するモニタ装置を搭載し、除雪やメンテナンス作業を補助する。
▲キャブは3人乗りで、左手が運転席、右手2席は除雪装置の操作用。3枚の前面窓には旋回窓が装備されている。
・環境に配慮したディーゼルエンジンは排気量30.5ℓ、出力は1,000psのものを1基搭載。
・愛称名は「Vermilion Russel(バーミリオン・ラッセル=朱色のラッセル車)」
…といった点が挙げられている。稼働開始は2022年1月を予定している。
▲製造は新潟トランシス。気動車ゆえか「定員10」の標記が興味深い。
今回は、同時に置き換え対象となるDE15形から旭川運転所所属の1509号機が並べて展示された。DE15形のラッセルヘッドは大きく分けて両側に雪を流す単線用と片側に雪を流す複線用があるが、本機は複線用(進行方向左手に雪を流す)。JR北海道では現時点で12両のDE15形を運用しているが、ゆくゆくはこのキヤ291形とモーターカーの小型除雪作業車で置き換える予定だ。特殊用途故に大切に維持されてきた国鉄型DLだが、いよいよ北海道においても終焉の時が迫っているのは間違いないようだ。
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