秋田臨海鉄道は3月12日をもってすべての列車の運行を終了し、3月31日をもって鉄道事業を終了したと発表した。
▲閉鎖された秋田臨海鉄道南線の踏切。
21.3.29 秋田臨海鉄道 南線 秋田港~向浜 P:田口精一
(今日の一枚より)
秋田臨海鉄道は、秋田港を起点とし、南線(秋田港~向浜)と北線(秋田港~秋田北港)で構成される貨物専用鉄道。設立は1970年4月21日で、秋田港の整備拡張と大規模な臨海工業用地の造成が進む中で、飛躍的な増加が見込まれる貨物輸送需要に対処するため、当時の国鉄と一体となった地方鉄道として整備された。
1971年7月7日から南線全線及び北線の秋田港駅~中島埠頭駅間で営業を開始し、同年10月1日には全線が開業した。その後、沿線の工場や精錬所への貨物輸送に従事してきた。
近年では2007~08年に北線で「秋田シーアンドレール構想」実証実験が行われた。しかし、その北線も精錬所への濃硫酸輸送が廃止され、2015年に休止となった。その後は南線のみで営業を続けてきたが、その南線での唯一の荷主であった向浜の日本製紙秋田工場の貨物輸送がトラック輸送に切り替わることとなり、鉄道事業終了の運びとなってしまった。
▲昨年には見学ツアーも開催され、多くのレイル・ファンなどが参加し、大きな盛り上がりを見せた。
’20.10.18 奥羽本線(貨物支線) 秋田港 P:阿部裕二
(今日の一枚より)
所属機関車は、JR北海道から譲渡されたDE10 1251、十勝鉄道から譲渡されたDE10 1543のほかDD13タイプのDD56 2が在籍していた。なお、DE10 1250については運行終了に先立つ2021年2月28日に秋田港駅を離れ、仙台臨海鉄道へ譲渡されている。
最終運行となった3月12日は、DE10 1251が「惜別」のヘッドマークを掲げ、花道を飾った。そして、3月31日に鉄道事業が手続き的に終了し、秋田臨海鉄道は、50年の歴史に幕を閉じた。また、これに合わせて同社ウェブサイトに社長名による挨拶文が発表された。