JR北海道は釧網本線で運行している「SL冬の湿原号」について、現状の車両老朽化のためリニューアル計画を発表した。
(JR北海道プレスリリースより)
■「SL冬の湿原号」概要
・運行開始:2000 年(平成 12 年)1月8日
・運行区間:釧網線 釧路~標茶間
・列車編成
■使用車両の現状
●C11 171号機
・2021年に苗穂工場にて全般検査を実施する計画。
・SLの心臓部であるボイラーは大阪の業者へ搬送し、修繕・性能検査を実施予定。
・車両新製から80年、前回2013年の全般検査から8年経過しており、台枠や台車など車両の主要な部品に摩耗やひびが発生するなど、検査の都度当該箇所を修繕する必要がある状況となっている。
▲全般検査実施風景(JR北海道プレスリリースより)
●14系客車(1・3~5号車)
・サービス機器の電源に使用している発電エンジンは、1972年、1980年製造で老朽化が進んでおり、製造中止のため修繕を行う部品の入手ができず、新たな発電エンジンへ交換が必要となっている。
・台車部品など各部が老朽化しており、部品交換が必要な状況となっている。
・車体外板や客室の腰掛やトイレなども老朽化が進行。
▲14系客車の発電用エンジン(左)と外板塗装の状態(JR北海道プレスリリースより)
■「SL冬の湿原号」リニューアル計画
新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあるが、「SL冬の湿原号」の運行継続については、地域住民からの要望、また当社としても道内唯一のSL観光列車を守るため、SLの全般検査、客車リニューアルを実施し、引き続きSLを運行していく予定。
●実施内容
・C11 171 号の全般検査を実施。
・内装のリニューアルを実施。2号車(カフェカー)については、旧型客車の雰囲気を損なわないように内装リフレッシュを実施予定。
・老朽化した発電エンジンや台車部品などの機器取替を施工予定。
●工事費
●スケジュール
■「SL冬の湿原号」の経緯
●C11 171 号
・1940 年:川崎車輛で製造
・北海道:各地で運行
・1975 年用途廃止
・標茶町で静態保存
・1998 年:苗穂工場に搬入
・1998 ~99 年:復元
▲C11 171の修繕風景(JR北海道プレスリリースより)
●14系客車(1・3~5号車)
・1973 ~74年:製造
・秋田運転区(スハフ14 507、オハ14 526)熊本機関区(スハフ14 505、オハ14 519)で使用
・1980 ~82年:五稜郭車両センターで北海道向けに改造し急行「はまなす」などとして使用。(札幌運転区所属)
・1999年:SL運行に合わせて苗穂工場で改造(スハフ14 507 は 2003年に改造)
・改造内容:放送装置、腰掛変更、テーブル設置、ダルマストーブ設置など
●カフェカー(スハシ44 1)(2号車)
・1952 年:製造(スハフ44 2)
・函館→札幌→旭川→函館で使用
・1988 年:「C62 ニセコ号」の運行に合わせ五稜郭車両センターで「カフェカー」に改造(スハシ44 1 に車両番号変更)