
今回修復されたのは1116号。戦後、16号として15号(→1115号)とともに日本車輌で新造された電車で、福島の電車の中では一番落ち着いたスタイルのグループように思う。1971(昭和46)年の廃止時に沿線の保原町(現在は伊達市に合併)に寄贈され、以来、保原中央公民館に保存されていた。


今回の修復は保原ロータリークラブが中心となって創立50周年記念事業として進められたとのことで、電車の広告枠に掲げられた説明板に詳しい。
さて、台車である。この電車は誕生時にはブリル27GEタイプの日車製台車を履いていた云われるが、現役時代いつの頃か、履き替えているようで、現在履いているのはブリル76Eのように見え、板ばね上のコイルばねも残っている。この軌道線には東京都電の台車が多数入っていたようだが、この台車の由来が気になるところだ。
新しい保存場所は以前の場所から100mほど移動した保原中央交流館で、現在の阿武隈急行線保原駅から北へ徒歩10分程度。現在も「駅前食堂」が残る旧福島交通保原駅(現在は保原バスターミナルとなっている。駅舎は違うようだが構内のレイアウトは面影を残す)まで数分の距離で、そこから長岡、掛田、梁川など、旧沿線へのバスも出ている。阿武隈川を渡る伊達橋や旧掛田駅舎など、路面電車ながら現役時代の遺構もそこかしこに見ることができるので、ハイキングがてら巡ってみるのも楽しそうだ。 2015.5.1作成 写真:高橋一嘉(6枚とも)