←その13 その15→ 可動橋の中には災害時に備えて設けられたものもいくつかある。その中の一つが、桑名市にある「玉重橋」だ。揖斐川から市街地に引き込まれた住吉入江に架かるもので、以前は普通の橋だったようだが、入江を台風などの際に船舶を避難させる場所として整備するため、1999年に昇開橋となった。 電動ジャッキで橋桁全体が上昇する構造だが、周囲の景観整備に合わせて造られたので、可動橋のカラクリを主張するような部分は一切無く、普段は動かないので、見た目は普通の橋だ。もちろん、動くような事態が少ないに越したことはない。 そのまま入江沿いの歩道を揖斐川の方へ進んでいくと、小さな歩道橋が架かっていた。これでは船が通れないのでは?と思ってよく見ると…橋桁の端が丸い。なんと片持式の旋回橋だった。 支点となる側にシリンダーが露出しており、小さいながら玉重橋よりも見た目は可動橋らしい。 橋の名前は書いておらず、案内にも「回転歩道橋」としか書いてない。高い位置に並んで架かる道路橋が「新住吉橋」なので、仮に「新住吉橋歩道橋」と呼ぶ。 袂の操作室と思しき小屋にあった銘板を見ると、製造はなんと日本車輌だった。正式には「新住吉橋船止設備」(橋桁の下の柵で船の流出を防ぐ意味?)というらしい。(つづく)→バックナンバー