1979年3月から運行が開始された近鉄では最初で最後となるステンレスカーで電算機号はSC。京都地下鉄烏丸線への乗り入れに対応すべく低発熱のサイリスタチョッパ制御を導入。これも近鉄では最初で最後の採用例となった。運転操作はデスクトップタイプの前後操作式2ハンドルで行ない、ブレーキ指令は常用制動が電気指令式、非常制動が制動管減圧式による。しかしながらブレーキシステムの互換性がないため1991年に在来各形式と共通のHSC-R電磁直通ブレーキに改造され、運転台も8600系と同様の構成に変更された。サイリスタチョッパ制御のデメリットである沿線地上設備の誘導障害の対応から奈良線には乗り入れできず、専ら京都線と橿原線・奈良線の大和西大寺~奈良間・天理線に運用が限定されていた。結局コストパフォーマンスに貢献できず4両だけの製作にとどまり、ダイヤが限定されるなど運用やメンテナンスなど多くの制約があるため2012年に廃車解体された。車齢33年と関西の電車としては短命であった。 ’10.6.19 近鉄橿原線 橿原神宮前 P:竹内喜和