3軸ボギーTR71を履く木造ダブルルーフ救援車で、国鉄(当時は鉄道省)が1925年に製造したスハ29300形がその前身である。スハ29300形はまだ列車愛称がなかった時代の特急3レ、4レ専用として20輌製造された大型ボギー車、それまでの17m車に代わって20mの車体をもち、列車全体で方向転換することを前提に3等ながら1方向を向いた固定クロスシートを装備した優等客車で、等間隔で並ぶ600mm幅の窓にその名残をとどめる。しかし就役直後に事故時の安全性の問題から鋼製車体を標準とするように方針変更されたため優等列車での活躍はごく短期間で終わり、その後はローカル列車で細々と働いていた。戦後まで生き残った車輌もこのような救援車などに改造されてほとんど動くことはなく、このスエ29 902もまもなく姿を消した。 ’59.9.24 奈良機関区 P:小西和之