もと阪和電鉄のモヨ104と106は国鉄買収後最終的にはクモハ20052と20054となり、戦前に登場した150kWのモーターを装備した関西私鉄の大形高速電車の中では1966年、いち早く廃車となった。この2輌は松尾鉱山に引き取られ、1967年には急勾配での客車や国鉄気動車の牽引用に威力を発揮したが、わずか数年後に松尾鉱業の廃止により、その後弘南鉄道に引き取られた。阪和電鉄以来の150kWの高速用モーターは弘南鉄道では余りにも過大だったので、100kWのモーター、台車もDT10に履き替えて登場した。後にクハやサハに格下げされながらも平成元年に解体されるまで、関西私鉄の大型高速電車の中では、いち早く廃車となったものの、地方私鉄に譲渡されたものは阪和形のみで、結果的には最後までこの2両の阪和型がしぶとく生き残ったのである。写真の先頭車はもと国鉄クモハ20052である弘南鉄道モハ2025であるが次位は東急の元モハ3400形である。ほぼ同時代に誕生した関西と関東の私鉄電車の違いが判然とする編成である。 ’76.3 弘前 P:永野晴樹