185系

特集・コラム

わずかに残るも今や風前の灯 103系・105系・205系 大所帯を誇った国鉄直流通勤型電車の今!

2026.08.07NEW

text:鉄道ホビダス編集部

 昭和の日本を支えた4つ扉20m級の国鉄直流通勤型電車。モハ90系(101系)に始まり、103系、201系、205系と、いわゆる「新性能電車」の通勤型はいずれも各地の大都市圏に大量投入されることになりました。そして2026年、国鉄も分割民営化されてから40年の節目が見え始め、昨今では国鉄型というだけでも大変貴重な存在となりつつあります。そうした背景もあり、今もなお現役で活躍する車両特に注目されています。ここではそんな国鉄型のうち、多くの沿線民たちの記憶に残った往年の通勤型電車たちの「今」に迫ります。

■大量製造された103系の今

播但線を走る103系3500番代。今や数少ない103系のオリジナルに近い前面形状を持っており、今注目されている車両の一つ。国鉄時代にはなかったワインレッドのカラーリングを纏っている。

‘26.3.27 播但線 寺前〜新野 P:松岡優大
(『今なお現役2026』写真募集より)

 言わずと知れた国鉄を代表する通勤型電車の103系。総製造両数は3,447両、改造・編入車も含めると3,503両の文字通り大所帯の系列でした。分割民営化されるとJR東日本・JR東海・JR西日本・JR九州に合計3,436両が承継されましたが、JR東海では1999年に、JR東日本では2009年にそれぞれ定期運行を終えています。現在残るのはJR西日本の播但線用3500番代と、加古川線用の3550番代、JR九州の筑肥線用1500番代のみとなっております。

前面デザインは貫通型の独自のものとなった加古川線用103系3550番代。こちらは常磐快速線を思わせるエメラルドグリーンの塗色となった。

‘26.3.13 山陽本線 有年〜上郡 P:廣村典彦
(『今なお現役2026』写真募集より)

 現在残る103系は三者三様です。体質改善40N工事施工車ではあるものの、前面はオリジナルの雰囲気を残す3500番代、貫通型先頭車に改造された3550番代、地下鉄直通用として製造され、車体は201系のスタイルに近い1500番代と、いずれも同じ103系とはいえ異なるスタイリングな点にも注目が集まります。

 とはいえ、現在残る103系はたったの47両(JR西日本車32両・JR九州車15両)となってしまいました。さらにJR九州は東京臨海高速鉄道から購入した70-000形の先頭車2両を「307系」に改造。この307系2両編成5本を2027年から投入する予定で、これによる103系1500番代の置き換えが見込まれます。

■ローカル運用に特化した1M電車 105系の今

濃黄色に統一されたことで、一時消滅した白地に赤と青帯のカラーリング。2022年より写真のK-02編成で復活した。

‘25.7.21 宇部線 深溝〜上嘉川 P:西岡智之
(『今なお現役2026』写真募集より)

 105系は、国鉄末期にも地方ローカル線でしぶとく残っていた旧型国電たちを一掃するべく、1981年に登場しました。103系を基本に、MM’ユニット(モーター車2両1組としたユニット)構造だったものを、1M方式(走行に必要な機器を1両に集約した方式)化し、前面は貫通構造で窓回りをジンカート処理されたいわゆる「パンダ顔」の仲間となっています。

 新製車のほかにも、103系を1M方式に改造した車両も存在しました。新製車はいずれも3ドアだったものの、改造車は103系由来であるがために4ドア車体になっているなど、外観上でも大きな差異があります。また、改造車は新製車同様の「パンダ顔」のほかにも種車の前面をそのまま使用した車両もいました。中でも、JR西日本所属の車両には地下鉄直通用103系1000番代由来の車両が在籍しており、貫通扉を持った独特な顔が近年まで見ることができました。

 現在は103系からの改造車は全て引退しており、下関総合車両所岡山電車支所 2両編成7本、下関総合車両所下関支所に2両編成9本が配置されています。岡山車は福塩線と山陽本線岡山〜福山間で運行されており、下関車は宇部線・小野田線・山陽本線宇部〜下関間で運行されています。いずれも227系の置き換え対象には含まれておらず、しばらくは活躍が続きそうです。

■「銀色の電車」が当たり前になった始まり 205系の今

JR西日本が投入した205系1000番代。前面窓の意匠が従来の205系と左右反転したようなものに変化し、助手側の窓が下辺方向に拡大された。

‘25.6.7 奈良線 桃山 P:米田賀一
(『今なお現役2026』写真募集より)

 国鉄で初めて本格的に軽量ステンレス車体と界磁添加励磁制御を採用した205系。さらにボルスタレス台車や一段下降窓の採用など、目新しいスタイリングが新時代の到来を思わせました。特に一段下降窓は過去に国鉄車両で採用した際、窓下に汚れや雨水が溜まり、そこから腐食が始まったことで寿命を縮めてしまった苦い思い出があっただけに、腐食の心配がないステンレス車体での一段下降窓の採用は特に目新しく見えました。民営化の際にはJR東日本とJR西日本に承継され、両社ともにその後も205系の増備が続けられました。

 JR東日本では後継車両の登場や玉突き転属によって大多数が置き換えとなり、一部はインドネシアに譲渡されました。現在残るは南武線浜川崎支線用の1000番代1編成が残るのみとなっています。さらにこちらも同区間で、水素ハイブリッド電車「HYBARI」ことFV-E991系の営業運転開始が発表されており、今後の動向が注目されています。

 また、JR東日本に在籍した205系のうちの一部は富士山麓電気鉄道へ譲渡された車両も存在しており、こちらは6000系と系式を改めて今も活躍が続いています。

 JR西日本では0番代・1000番代ともに奈良線での運行が続けられており、こちらはしばらく活躍を見ることができそうです。

205系のうち、山手線に新製投入された二段窓・量産先行車のグループの一部は富士山麓電気鉄道で現役だ。

‘25.10.26 富士山麓電気鉄道 大月線 下吉田 P:齋藤有希
(『今なお現役2026』写真募集より)

 来年2027年は、国鉄分割民営化から40年の節目を迎えるメモリアルイヤーとなります。それは国鉄時代に製造された車両は少なくとも車齢40年以上になることを意味し、JR化後に製造された国鉄系式ですら車齢30年以上の大ベテランばかりとなりました。
 それを考慮すれば、具体的な置き換え計画がない車両でも、今のうちに記録しておくことに損はないように思えます。昭和の通勤輸送を支えた名車たちの活躍を目に焼き付けておくなら、今のうちなのかもしれません。

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