text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は2026年6月から展開され始めたプラレールの新シリーズ「キミの街のヒーローシリーズ」の第一弾となる「E233系横浜線」にクローズアップします。品番もなく、通常ラインナップではないシリーズですが、横浜線E233系に関しては、過去に何回か製品化されています。(編集部)
【写真】今回新発売された「横浜線E233系」はこれまでどどこが違う!?写真を詳しく見る
2026年6月から、プラレールの車両単品に新しいシリーズが加わりました。日本全国、地域別に特色のある車両がテーマとなった「キミの街のヒーローシリーズ」です。
2010年から2011年にかけて展開していた「ぼくもだいすき!臨時列車シリーズ」、その後継2012年から2020年にかけて展開していた「ぼくもだいすき!たのしい列車シリーズ」に続く、全国流通品ながら品番付き製品とは異なる事実上の限定品としてのシリーズになります。
今回始まった「キミの街のヒーローシリーズ」の第1弾は「E233系横浜線」です。「たのしい列車シリーズ」時代の2014年、2018年の二度に渡り発売された人気の車種で、今回が三度目の発売となりました。既存のE233系のカラーバリエーションですが、今回から車体の少し仕様が変わっています。詳しく見ていきましょう。

▲2026年6月13日に発売された「E233系横浜線」
横浜線用のE233系6000番代は2014年2月にデビュー。既存の205系の置き換え用として投入され、約半年後の8月にE233系に統一されました。
プラレールではデビューからすぐとなる3月に「ぼくもだいすき!たのしい列車シリーズ」の一つとして発売されました。導入当時に乗務員扉直後に貼られていた「駅スタンプ」の町田駅のものが再現されており、このことからH003編成がモデルとなっていることがわかります。横浜線のプラレールは2002年12月に発売された「僕の街の電車セット 東日本」で205系が製品化されて以来となり、新型車両の素早い製品化ということも相まって、売り場から瞬く間に姿を消しました。
「たのしい列車シリーズ」は冒頭で述べたように限定品としての性格が強く、基本は一回生産で終わり、再生産・再販が行われることはあまりありません。しかし地域色が強いとは言え、沿線民には馴染み深い通勤電車である横浜線E233系と、その前年の2013年10月に発売された埼京線E233系はその人気を受けてか、横浜線が2018年、埼京線が2019年に再販されています。動力ユニット更新後の再販となったため、それぞれいわゆる「新メカ」を搭載した新形態となりました。
なお横浜線の車両に貼られていた「駅スタンプ」は、デビューから1年後の2015年には全て剥がされており、2018年に再販されたものではその姿が再現されています。

▲側面帯にあしらわれたロゴはシールで表現
かねてより2014年版の人気が高かったこともあり、2018年に再販されることが発表された際にはプラレールファンの間で大いに話題となりました。前回同様、こちらも発売後はすぐに売り場から姿を消しています。
首都圏の各主要路線で活躍しているE233系ですが、プラレールの通常品としては、中央快速線・京浜東北線と湘南色がラインナップされているのみで、今回取り上げている横浜線や、先述の埼京線、そして南武線・京葉線はいずれも限定品に近い扱いです。このうち、埼京線は2019年の再販後、鉄道博物館のミュージアムショップ向けに継続的に生産されており、場所は限られるものの現在でも入手可能です。
京葉線は「プラレールショップ」の限定品です。2011年と2015年の二度発売され、横浜線同様に新動力と新メカの2種類があります。南武線は横浜線・埼京線と同様に「たのしい列車シリーズ」での発売。2015年3月に発売され、横浜線同様に人気を博していましたが、長い間入手困難な時期が続きました。初回発売から11年、2026年になり「キミの街のヒーローシリーズ」での再販が決定しており、発売前から期待が寄せられています。
ちなみに、以前の連載でも取り上げたようにE233系の車体は「人形あそび通勤電車」の車体を使って表現されています。元のモデルが209系だったため、車体はストレート、パンタグラフは菱型、クーラーキセは901系タイプと、現実のE233系とは異なる形状をしています。2026年で登場から33年が経つこの209系車体ですが、今回再販された横浜線から新たな改修が加わったことが特筆できます。
「人形あそび通勤電車」の金型は人形を乗せるためにクーラーの位置がオフセットされ車体に穴が開けられており、そのままではバリエーション展開ができない仕様でした。発売からしばらくした後、2000年代に入ってから車体を改修。「サウンドプラレール」と「プラキッズ」対応の二通りの仕様が生まれました。E233系をはじめとしたこの車体のバリエーションは全て前者の車体をベースとしているため、ダミーのサウンドユニットに当たるプラパーツが必要となり、以後生産されているタイプは全てこの仕様です。
ところが今回発売された「E233系横浜線」より、中間車が他の車種と同様の構造に改修されています。サウンドプラレールのスイッチ穴用にクーラーが別パーツとなっていたのが一体化、シャーシも他車種と共通のものになり、ダミーのプラパーツも無くなりました。これによりネジ・樹脂の使用数が減らされ、スリムなものになっています。おもちゃと言えどやはり工業製品、製造の工数削減に向けた改良の努力が伺えるのもロングセラー玩具ならではです。
2014年、2018年、そして2026年の三度の渡り発売されたE233系横浜線。車両そのものは変わらないものの、それぞれの発売時に沿った仕様の変更・改修が行われているのがなかなか興味深い車両だと言えるでしょう。今年からスタートした「キミの街のヒーローシリーズ」の今後の展開にも注目です。


