text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回はプラレールで長年ラインナップされ続けている旧型客車「スハ43」の歴史について触れていきます。当初はSL系の製品の牽引客車としてラインアップされていましたが、程なくして一度は絶版に。その後平成に入ってから復活を遂げますが…?(編集部)
【写真】えっ!?こんなにバリエーションがあったの?プラレールの旧客たちを写真でもっと見る
プラレールは65年以上に渡る歴史の中で、多くのロングセラー品を生み出しています。既に絶版となっているものを含めて、車両、情景部品、レールなど、30年以上生産されていたものも珍しくありません。その逆に、一時期のみの発売に留まり、30年間生産されていなかったものが突如して復活し、以後定着したという例もあります。
今回はその復活を遂げてから現在まで24年間に渡り生産されている車両、旧型客車「スハ43」に迫ります。

▲1972年に「C58じょうききかんしゃ」の牽引車両として登場した「旧型客車」
10系客車以前に製造された国鉄型の客車は総じて「旧型客車」と呼ばれ、スハ32系・オハ35系・スハ43系など多くの形式が含まれます。戦後も全国で見られた旧型客車ですが、客車列車の電車・気動車化や12系・14系・50系といった後継形式の新しい客車の導入によりその数を減らし、通常運用では1990年の和田岬線を最後に引退しています。ただ、2026年現在でも動体保存されイベント列車や観光列車として活用されている例は多く見られます。
プラレールにおける旧型客車は1972年に発売された「C58じょうききかんしゃ」で初登場。同年のセット「弁慶号セット」「プラレール基本セット D-51」、1973年発売の「C12・ロータリーじょせつしゃセット」、1974年発売の「D-51りったいだいてっきょうセット」にも含まれ、1970年代当時から見てもレトロな存在となっていた蒸気機関車が牽引するに相応しい車両として採用されたものと思われます。
車体は実車に準じた茶色、屋根は布張りをイメージしたようなグレー成型となり、側面ドアはプレスドアを模したモールド入りのもの、窓の上下にはシル・ヘッダーが表現され、窓下には等級を示す緑の帯と「うえの」表示のサボを印刷したシールが貼られ、妻面も幌とその吊り具が表現された、当時としてはなかなかの高クオリティ品となっていました。なお、「C12・ロータリーじょせつしゃセット」に含まれていたものは屋根に雪が積もった様子を表現した白成型の屋根となっています。このように5製品に含まれた「旧型客車」ですが、正式な商品名は与えられずあくまでも付属の車両扱い。セット品の内容一覧には単に「客車」と表記されていました。
1974年に車両単品のラインナップ拡充が行われると、既に別の客車である「急行客車」が存在していたことや、電車、電気機関車などの製品の発展もあり、以後「旧型客車」は生産されなくなりました。

▲2002年から復活したバリエーションの一部
本連載でもたびたび取り上げているように、20世紀末からの既存製品のクオリティ向上や車種の更なる充実、新機軸を盛り込んだギミック製品の誕生が相次ぎ、プラレールは新時代を迎えます。この流れの中で、2002年に発売された車両単品「S-28 ライト付D51機蒸気機関車」にて1974年以来28年ぶりに旧型客車が復活を遂げます。JR西日本の梅小路蒸気機関車館で保存されているD51 200号機とスハ46 13を組み合わせた製品です。この製品ではこのタイプの旧型客車で初めて車両番号が指定されたことが特筆されます。
2002年12月に同時に6セットが発売された「僕の街の電車セットシリーズ」では早くもカラーバリエーションが登場。JR6社の車両を主題としたこのセットのうち、「北海道」の製品でのことでした。
「僕の街の電車セット 北海道」はC11 171号機が牽引する「SL函館大沼号」が題材となり、この牽引車両にJR北海道が保有していたスハシ44形をモデルとした紫色の旧型客車が付属。2両連結で後尾車の貫通路にはテールマークを装着し、同型の車両が連続するものの中間車・後尾車の差別化が図られていることが特徴的でした。
これらの再登場を皮切りに、プラレールの旧型客車は多彩なバリエーション展開を開始します。2003年には車両単品の「F-03 スハ43」が発売されています。
2003年12月発売の「JR東日本スペシャルセット2」では、DE10 1705号機が牽引するぶどう色に赤帯の車両が製品化。こちらは当時新製品だったプラキッズ対応のスハフ32との連結です。2004年9月発売の「蒸気機関車 鉄三勇士」ではC62 3号機が牽引するSLニセコ号をモチーフとした青色のもの(単品と同様)が、2006年3月発売の「つばめスペシャルセット」では青大将色のものが登場し、そのバリエーションは続々と増えていきました。
2006年のプラレール博では、入場記念品と会場内ゲーム景品としてカラフルなオリジナルデザインが多数登場。赤・黄・緑・青の4色が用意されています。これ以降もプラレール博の景品としては多数のバリエーションが作られており、渋い旧型客車ながらその色合いからプラレールらしい世界観を演出するかわいらしい車両に仕上がっています。
この他にも、車番をオハフ61として後部にテールライトのシールを貼ったもの、イベント限定品のC62 3号機牽引のものとしてスハシ44 1に指定されたもの、窓枠を銀色に塗ってアルミサッシ更新車をモデルにしたもの、単品のC61が牽引するものとしてオハ47 2261に指定されたものなど、実車モデル・オリジナルモデルを含めて非常に多彩な展開を見せています。
2026年現在、単品編成のD51とC61の牽引車として旧型客車は販売を継続しています。70年代の登場当時は数製品のみに留まった旧型客車で、基本設計は50年以上前となりますが、再登場から約四半世紀が経ちすっかり定番ラインナップとなりました。

