取材日:‘25.9.1
text & photo:福島 鷺栖

構内の入換を行うHD300-23号機。
■幹線上の貨物駅
以前、専用線がある駅としてご紹介した山陽本線岩国駅から広島方面へわずか2駅離れたところにも、旅客駅に併設された貨物駅があります。ここでは小規模ながら入換機が駐在し、本線を跨いだ入換も見ることができます。今回は、そんな入換がおもしろい駅、「大竹駅」をご紹介していきたいと思います。
【写真】写真でわかりやすく入換手順も紹介!大竹の貨物駅の様子をもっと見る!

跨線橋から広島方に駅全体を望む。
■線路を挟んで2か所の貨物ホーム
大竹駅の旅客駅としての設備は、中線を含めた2面4線という国鉄時代の幹線でよく見られた構造となっています。一方貨物駅はというと、旅客駅に隣接して下り線側にコンテナホームと荷役線が設けられており、さらに本線を挟んで東側の上り線にもコンテナホームがあります。このように本線を挟んで2か所に貨物ホームが設けられた特徴的な構造をしているほか、駅構内には架線が張られていない箇所もあるため、入換にはHD300が用いられます。この特殊な構造により、本線を横断するHD300の姿を見ることができるというのも、この大竹駅の大きな特徴です。

旅客駅併設のコンテナホームと線路を挟んで反対側の東側にもコンテナホームが設けられている。
出典:国土地理院発行地理院タイル(標準地図)
■大竹駅での入換とは?
この特徴的な大竹駅の入換を下り列車の手順を例に早速見ていきたいと思います。手順としては、主に以下の通りです。
1. 副本線に着便が到着
2. 大竹駅着の貨車のみを切り離し、本務機が貨物駅構内へ貨車を移動させる。
3. 本務機は副本線の残りの貨車に連結
4. HD300が着便の貨車を迎えに行く
5. HD300が広島方の引き上げ線に入る
6. 下り旅客電車の発車を待って中線に入線
7. 上り旅客列車の合間を縫って東側コンテナホームへ移動
この日、到着した列車は大竹駅止まりの貨車と他の行先の貨車を混結した多層階建ての列車でした。そのため、本務機が切り離した貨車を駅構内へ引きこむ必要があったため、本務機とHD300がそれぞれ受け渡しを行っていました。機関車は更新されましたが、今となっては珍しくなった貨物ターミナル以外での分割と入換作業を見ることができる貴重な駅といえるでしょう。
■かつて隆盛を極めた「車扱い貨物」の記憶
岩国駅と同様、瀬戸内海の工業地帯に位置している大竹駅。かつては、この駅でも化成品輸送などを中心としたタンク車等の車扱い貨物が頻繁に出入りしていたほか、専用線にもいくつか接続していました。その中の三井化学専用線は現在もその痕跡が色濃く残しています。一つ隣の和木駅から海側に進むと現在でも築堤の跡を見ることができ、こちらは山陽本線の車内からも見ることが可能です。

岩国方をホーム端から望む。副本線から真っすぐ延びる線路の先に三井化学の専用線があった。
2面の貨物ホームを擁した、特徴的な駅構造ならではの入換作業とかつての専用線跡。貨物ファンにはたまらない光景をぜひ観察しに行ってみてはいかがでしょうか。


