text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は早い時期から事業者限定品プラレールで参入した江ノ電の中でも、今も現役な1000形に注目します。一見普通のプラレールですが、意外にも深い歴史がある製品なのです。(編集部)
【写真】限定品でまさかの復活を果たした1000形!通常品との違いを写真でもっと見る
1999年に事業者限定品としてプラレールに参入した江ノ電。「えのでん」と名付けられた最初の製品は、1997年に発売された復刻版の「ちんちんでんしゃ」を塗り替えたものでしたが、その人気は絶大でした。翌2000年にはグレードアップを図って再発売、そして2001年からは独自の金型を起こし、300形・旧500形のほか、300形の復刻塗装である「チョコ電」、同じく300形の塗り替えで再現された600形「青電」と800形「赤電」を発売するなど、短期間のうちに急速にラインナップを充実させていきました。江ノ電プラレールの展開は事業者限定品に留まらず、2002年6月・11月には全国流通品として「海の見える旅セット」「PostPetドリーム1号セット」を発売するなど、勢いに乗っていました。
2003年に前述の「チョコ電」「青電」「赤電」を発売した後、9月にいよいよ品番付きの車両単品が登場しました。それが「1000形」です。

▲2003年発売の「S-47 サウンド江ノ電1000形」と、2024年に江ノ電から発売された「サウンド江ノ電1000形」
2001年12月23日に発売された「S-18 JR九州『白いかもめ』」を皮切りに、通常の車両単品に品番が付与されるようになりました。2002年に入ってからは「S-29 プラキッズC12蒸気機関車」「S-27 EF15電気機関車」「S-28 ライト付D51 200号蒸気機関車」と既存製品のリニューアルが続き、同年7月には「新幹線一斉リニューアル」が行われ、S-01〜12が出揃い、以後残りの番号を埋めていく形で続々と新製品が登場。2005年にS-60に到達するまで続きました。
この間、2003年9月11日にS-47として発売されたのが「サウンド江ノ電1000形」です。商品名の通り、サウンドユニットを搭載した車両を連結する「サウンドプラレール」であり、2月27日発売の「S-42 サウンド223系新快速」「S-43 サウンドE231系近郊電車」、7月31日発売の「S-46 サウンドJR東海313系電車」に続く4車種目となり、同時に私鉄車両初のサウンド車となりました。
先の3車種は223系がミュージックホーンを鳴らす以外はほぼ同じ音源を搭載していましたが、江ノ電1000形では独自の内容を収録しています。サウンド車の電源を入れると発車ベルが鳴り、ドアが閉まる音が流れ、走らせると江ノ電らしいゆっくりとしたジョイント音が鳴り、停車時にはブレーキ音とドアの開く音が流れるという、JRのサウンド車とはまた違う内容が人気を呼びました。
なお、2005年6月には江ノ電限定品として当時放送されていた大河ドラマのラッピングを施した「義経号」が発売されており、1000形プラレール初のカラーバリエーションとなりました。この「義経号」は期間限定ラッピングの製品化であったため比較的早期に売り切れ、数多くの製品が出ている江ノ電製品の中でも2026年現在では入手困難品として知られています。

▲角張った前面や、側面の大きな窓が忠実に再現されている。丸目ライトが印象的な第1編成がモデル。
塗装は発売時時点で纏っていたものでしたが、発売翌年から実車では更新工事に合わせて塗装更新が行われ、プラレールの姿は過去のものとなりました。とはいえ、生産の都合上すぐにその姿を反映するというわけにもいかなかったようでしばらくは旧塗装のままラインナップに載り続け、2009年7月に商品名はそのままに新塗装仕様に更新。2017年まで販売され、同年江ノ電の「サウンド500形」に置き換えられています。なお、1000形と500形は同じサウンドを搭載しています。
1000形のデビューから35年以上、新500形のデビューからも10年以上が経過していたため、車種置き換えは妥当といったところでしたが、その500形も2021年に絶版。阪急1000系に置き換えられ、現在は阪急2300系がS-47に割り当てられています。
2000年代初頭に多くの車両を発売した江ノ電。事業者限定品は完売するとそれっきりなため、例に漏れず江ノ電もラインナップが減少していきます。2007年に発売した300形(2001年発売品の仕様違い)は代表的な車種なため、2020年代では唯一の現行製品として発売され続けていましたが、2024年3月に通常品を復活する形で「サウンド江ノ電1000形」が再び登場しました。翌2025年には「サウンド江ノ電500形」も復活。江ノ電のプラレールに再び活気が戻ってきています。
500形のデビュー以来、約20年間顔ぶれが変わらなかった江ノ電ですが、1000形の置き換え用として2026年春に新型車両700形の営業開始が予定されています。プラレールではレジェンド製品となった1000形。実車では最初にプラレール化された編成の終焉が迫っています。





