text:RM photo:伊藤岳志
取材日:’25.11.26 場所:海老名車両基地
取材協力:小田急電鉄
小田原~箱根湯本間の箱根登山線で運行されている小田急1000形が、順次箱根登山電車カラーに塗色変更されることとなり、その運行開始に先立って海老名車両基地にて報道公開が実施されました。
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▲前面下部のシルバーの部分が前回のレーティッシュカラーと大いに印象が異なる部分。
同区間に「赤い1000形」が投入されるのは2度目のことで、2009年に「赤い1000形」が投入されて以来、4連4本が「レーティッシュカラー」となって運行していましたが、それらの編成は1000形リニューアル工事の対象から外れてしまい、2022年9月までに通常色の1000形リニューアル車に置き換えられ、廃車となっておりました。ここに、約3年ぶりに箱根登山電車のカラーを纏った1000形が帰ってくるというわけです。
そもそもこの区間は小田急の路線ではなく、箱根登山鉄道(現・小田急箱根鉄道線)に小田急の1000形と特急ロマンスカーが乗り入れている格好で、登山電車は入生田の車庫への入出場以外では走っていないという特殊な性質を持ちます。
今回塗装変更が行われるのは、世界的な観光地・箱根への旅情を利用者に一層楽しんでもらえるようにするためのほか、通常カラーの通勤車両とは異なる赤い車両にすることで視認性が向上し、小田原駅での乗り換えがさらに分かりやすくなるようにするためとのこと。今後は箱根登山電車の区間を走行する1000形が、箱根湯本駅より先の山岳区間を運行する箱根登山電車3000形(アレグラ号)と同じ車体カラー「バーミリオンはこね」に変わることで、インバウンド旅行者をはじめ、初めて訪問する方も、迷わず箱根方面へ向かえるようになることが期待されます。
そのため、同じ赤色系塗装でも、前回がスイス・レーティッシュ鉄道に範を取った登山電車の1000・2000形をイメージさせるものだったのに対し、今回は登山電車3000形「アレグラ」をイメージさせるものとなっていてかなり印象が異なるものとなっています。
▲中間車の塗り分け。
▲前回のレーティッシュカラーは先頭部はほぼ真っ赤でしたが、今回はシルバーが大きく入り窓廻りの黒とも相俟って複雑な塗り分けとなりました。
また外観に加えて、車内では窓の上のスペースを「あかいでんしゃフォトギャラリー」として、四季折々の箱根の風景写真が展示されます。観光情報サイト箱根ナビの Instagram で発信した箱根の魅力をポスターに再編集して、旅への期待感を高め、より充実した移動時間を楽しめるようになります。
▲車内の広告ポスタースペースに、箱根登山電車の名場面の写真が散りばめられています。
さらに、車内ドアガラスには「箱根フリーパス」「箱根ナビ」「箱根キャリーサービス」「ODAKYUHAKONE FREE Wi-Fi」など箱根の旅に便利なサービスを告知するステッカーが掲示され、利用客の快適な観光に資すサービスが提供されます。
なお、今回塗装変更されたのは小田急1000形1066編成で、3月上旬までに1063編成、1064編成、1065編成の3編成が順次塗装変更される予定です。旧型車の引退が発表されるなど話題の多い箱根登山電車。入口から気分を盛り上げてくれそうな電車の登場と言えるでしょう。
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