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特集・コラム

JR東日本の電気・ディーゼル機関車は終焉へ 水郡線に昔懐かしのDE10牽引客車列車が走った日を振り返る!

2025.11.29

取材日(特記以外):‘22.3.27
text & photo:福島鷺栖

 かつて各地のローカル線では機関車が貨物や客車を牽引する姿が日常的に見られました。ですが近年、その光景は機関車そのものが数を減らしつつあることから、見られる機会がほとんどなくなってしまいました。特に筆者にとっては水郡線をはじめとしたローカル線でイベント列車を牽引したJR東日本所属のDE10の活躍シーンは記憶に残るものでした。そんな彼らもいよいよ引退の時を迎えつつあります。
 そこで今回は、数を減らしつつある機関車たちへの想いを込めて、2022年3月に運行された「水郡線復旧記念感謝号」の記録を振り返っていきたいと思います。

【写真】たった3年で機関車事情は大きく変化 少し前のDE10「客レ」運行の様子をもっと見る

久慈川を悠々と渡るDE10と12系。往年の客車列車を彷彿とさせる。

水郡線 西金〜下小川

■水郡線が湧いた!水郡線全線通してDE10客レが往復運転!

 水郡線は水戸と郡山を結ぶ路線で、久慈川の流れに沿って走っている箇所も多く、2019年10月の台風の影響で大きな被害を受けましたが、2021年3月27日に全線復旧を果たしました。その復旧から1周年を記念して3月26日・27日にDE10と12系客車の臨時列車が運転されました。

往路・復路ともにヘッドマークをつけての運行となった。

‘22.3.26 水郡線 西金~上小川

■郡山発!常陸大子行き客車列車に乗る!

 今回の臨時列車は26日に水戸から郡山まで走り、復路は翌日に運行されました。牽引機を途中の常陸大子で交代するため水戸→常陸大子が1号、常陸大子→郡山が3号、郡山→常陸大子が2号、常陸大子→水戸が4号と設定されました。私は2号に乗車し、水郡線の中でもイベント列車の運行頻度が比較的少ない常陸大子以北の区間に乗りました。

郡山駅に推進運転で入線した「水郡線復旧記念感謝号」2号。牽引は郡山車両センター所属のDE10 1651

東北本線 郡山

■ホームに推進運転で入線!迫力の入換から水郡線へ

 26日の運行終了後に駅横のヤードに留置されていた12系客車は、DE10を上野方に連結し、推進運転で入線してきました。ホームは入線前から活気に満ちており、列車が推進運転で入線してくるとさらににぎやかになりました。なお、当時充当されたのはぐんま車両センター所属の12系3両でした。車番は常陸大子方からスハフ12 162+オハ12 366+スハフ12 161となっています。

推進運転での入線のため、係員が誘導を行う。

当時まだ現役だった「フルーティアふくしま」の入線時間帯とも重なり、列車出発前からホームは盛況だった。

 列車が郡山を発車すると、スハフとDE10の心地よいエンジン音に揺られながら春の陽気を感じることができる水郡線内へと入っていきました。12系3両というコンパクトな編成だからこそ、牽引機のエンジン音などもより際立って体感出来たように感じます。列車は磐城石川での長時間停車などを経て終点の常陸大子まで力強い走りを見せてくれました。

水郡線に入ったあたりで検札がやってくる。この光景もかつての客車列車のようだ。

磐城石川では長時間停車が設けられた。ホームはレイル・ファンで活気に満ちていた。

■迫力の機関車入換!そして水戸へ…

 常陸大子到着後は機関車の付け替えが行われ、4号として運行されました。列車は常陸大子駅の3番線に入線し、以降の牽引機は待機していたぐんま車両センターのDE10 1649にバトンタッチされます。解結・連結作業はレイル・ファンのみならず一般の方も見入ってしまうほどの迫力ある作業でした。

大勢に見守られながらの解結作業。

ぐんまと郡山のDE10が顔を合わせた。

 国鉄型のディーゼル機関車が。複数機付け替えながらローカル線を力強く走る光景は。残念ながら今では見る機会はほぼなくなってしまいました。機関車の引退が急速に進み、こうしたイベント列車は数を減らしつつありますが、また違った形での楽しいイベント列車が、各地で運行されることを願ってやまない限りです。

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