
長野方向から松本方向に走ってきた普通電車。
長野県の2大都市、松本と長野を結ぶ篠ノ井線は、松本盆地と長野盆地の間にある筑摩山地という山脈の山越えのため、数か所のスイッチバックと長大なトンネルで両都市を結ぶ動脈であると同時に、鉄道運行上の難所になっています。
中でも現役スイッチバックのある姨捨駅は、日本三大車窓の駅として古くから観光客に人気があり、眼下に広がる長野盆地の夜景は一見の価値ありと言われています。
【写真】日本有数の絶景駅の姨捨駅 そこから見える景色をもっと写真で見る
近年はクルーズトレインの「四季島」の経由地として、ひと月に数回、クルーズトレインがやってきており、山合いの静かな駅にもこの時ばかりは華やいだ雰囲気となるようです。さて、そんなスイッチバックの駅、姨捨駅周辺はどんな作りになっているのか気になるところです。ここでは駅周辺を歩いてみました。

松本方面行の普通電車は一度駅を通り越し、引上線に入ります。その引上線から推進運転で姨捨駅に入る普通列車。テールライトは点灯しているが手前方向に進んできます。
とんがり屋根に瀟洒な雰囲気の姨捨駅舎。現在は駅員無配置駅であり、日中は周辺住民のご老人達が観光客への案内などボランティアを行なっています。またクルーズトレイン「四季島」が来るようになって、その対応設備として用意されたバーラウンジ。普段は閉鎖されており、「四季島」の乗客に向けた施設となっています。駅ホームは10両編成の「四季島」が停車できる有効長を持っており、さらに構内の隅には昔の貨物ホームも残り、農作物などが出荷されていた往時をしのばせます。ちなみに現在は保線車置き場として使われているようです。線路の終点部分は特に渡り線や別の引込線などはなく、複線のまま草に埋もれる車止めで線路は終わっています。線路の終点部分から駅方向を見ると、草の茂り具合からもここまで車両はほぼ入ってこないようです。

駅からの絶景「長野盆地」を眺めてみます。上写真の赤い矢印のあたりで千曲川を横切っているのが北陸新幹線の高架橋です。緑の印のあたりが、しなの鉄道の屋代駅付近。ちなみにしなの鉄道の屋代駅付近から姨捨付近を望むと、山の中腹からコンクリートの橋梁が見えるのですが、これが高速道路の長野道となります。その下に小さく見える架線柱の群れが見えるのですが、それこそがこの篠ノ井線姨捨駅付近になります。
姨捨駅の駅名看板はスイッチバックの線路配線を表したものになっているのがまた面白いポイント。姨捨駅の駅舎は山側に面ており、木陰はハイカーやサイクリストの休憩所ともなっています。駅構内も暖かみのある照明がロビーを照らしていました。
さて、現役スイッチバックの駅、姨捨駅をレポートしてみました。休日の日中にともなると何人かの観光客が降り立つ山間の駅は、「四季島」がやってくる夜にはどんな賑わいとなるのか。見てみたいものです。こんな駅の様子も模型や写真のヒントになればと思います。それではまた。




