185系

特集・コラム

可愛らしい小さな入換機関車がトコトコ走る!今なお昔ながらの作業が見られる下関貨物駅の入換とは?

2025.11.22

取材日:‘25.9.2(特記以外)
text & photo:福島鷺栖

 下関といえば、古くから交易で栄えた関門海峡本州側の港町で、山口県の主要都市の一つです。レイル・ファンとしては、幡生工場(下関総合車両所本所)や本州と九州を結ぶ拠点として機能してきた歴史を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。現在は本州と九州を連絡する在来線特急列車もなくなり、普通列車も下関駅で運転系統が分割されてしまいました。そんな下関駅ですが、実は小さな貨物駅が併設されています。今回はこの「JR貨物下関駅」を見ていきます。

【写真】レイル・ファン的見どころ、結構満載です。JR貨物の下関駅の様子を写真でもっと見る

下関駅の南東の線路沿いにある下関駅。広い構内だが、列車の本数はわずか。

■L型DLが走る!下関貨物駅

 JR貨物の下関駅は現在荷役ホームが2面の地上に位置したコンテナ貨物駅で、高架である本線からはスロープ線で繋がっており、下関総合車両所運用検修センターの入出区線から分岐する形となっています。なお、JR貨物門司機関区所属のDB500が一機常駐しており入換を担当しています。ちなみに、本形式の初配置駅は当駅で、配置当初は貨物ファンの話題となった駅でもありました。ちなみにこのDB500は、各地の専用線で見られる北陸重機製ものをベースとしつつも保安装置を搭載し、小規模貨物駅の貨車移動機として活躍する車両となっています。

下関駅の全景。手前の荷役ホームには屋根がついている。

■入換の流れと見どころ

 この駅の入換そのものは着便の貨車をDB500が迎えに行き、荷役ホームに引き込むという非常に簡単なものですが、下関駅が行き止まりであることから本務機の引き上げがあり、荷役ホームが敷地外から見やすい点から。単純な入換であっても非常に見ごたえのある作業となっています。ちなみに、作業は順にまとめると以下のようになります。

1.11時前ごろ、屋根付き荷役ホームに待機していたDB500が反対側のホームへ移動
2.11時過ぎ、着便が到着
3.DB500が着便の貨車を引き取りに着発線へ。
4.着便の本務機が南端の引き上げ線へ入り、単機に
5.11:20ごろ、着便の貨車をDB500が荷役ホームへ移動させる。
6.荷物の積み下ろしが開始

2.の着便が到着したタイミング。奥には着便の列車が下りてきている様子が見える。

3.の着便の貨車を迎えに行くDB500。

4.の本務機が引き上げ線に入る場面。下関駅が行き止まりのため、引き上げ線を用いて、転線を行う。

5.のDB500が荷役ホームに貨車を押し込む場面。貨車には係員が添乗し、誘導を行っている。

入換が終了すると荷物の積み下ろしが始まる。トラックが着便が到着後すぐにホームへ入っていった。

 着便が到着し、本務機から入換機にバトンタッチを行い、荷役ホームに引き込むというかつてはどの駅でも見られた光景ですが、現在は貨物駅の効率化などにより数を減らしつつある光景でもあります。駅の南側付近からは駅構内が見通せるので観察にはお勧めですが、貨物駅周辺は物流倉庫も多く交通量も多いため見学する際は付近にご注意ください。

■かつては港中に線路を張り巡らしていた下関貨物駅

 現在こそ小規模となった下関の貨物駅ですが、かつては港湾部にもレールが張り巡らされており漁港や埠頭から貨車が集まる大きな貨物駅でした。現在もその一部が残っており、駅の西側の漁港や東側のふ頭付近では当時のレールが残っている箇所も多くあり、廃線跡スポットとしても非常にディープな光景が広がっています。ですが、こちらはかなりディープなので改めてじっくり紹介したいと思います。こうご期待ください。

埠頭へ続く廃線跡のレール

‘22.6.26撮影

  • このエントリーをはてなブックマークに追加