text & photo：なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載！長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます！今回は数多く事業者限定品プラレールをリリースしている京急のうち、1500形の製品にクローズアップ。実車は置き換えが進んでいますが、プラレールとしての製品化は少しイレギュラーな形態での登場でした。（編集部）
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2018年2月25日、京浜急行電鉄が創立120周年を迎えました。京急は事業者限定品プラレールの黎明期から製品を出し続けており、2025年11月時点で37種類の車両単品と7種類の車両セット（うち1種は単品2本の抱き合わせ販売）を発売した実績があります。形式ごとはもちろん、製造年次・更新工事による車体仕様の違いや、「BLUE SKY TRAIN」や「YELLOW HAPPY TRAIN」などの特別塗装、キャラクターもののラッピング、果てには事業用車であるデト11・12形まで幅広く製品化されています。
今回はそのラインナップのうち、京急の創立120周年を記念して運行されていた1500形のラッピング電車「京急120年の歩み号」を紹介します。京急1500形と言えば赤い車体に細い白帯を巻いた姿が印象的ですが、初めての製品はラッピング仕様だったという点が他の車両と異なります。
▲2019年2月2日に発売された「京急1500形 京急120年の歩み号」
「京急120年の歩み号」は京急の創立120周年を記念し、2018年2月25日から1年間運行されていたラッピング車両です。大師線で使用されている1521編成を対象に、1500形本来の塗装を残した3号車を除く1・2・4号車にラッピングが施されました。1号車は赤い車体・木造ドアの51形の姿を、2号車は窓周りに太い黄色帯を巻いた500形の塗装を、4号車は現行の2100形・新1000形で見られる窓周りに太い白帯を巻いた塗装が再現されていました。2008年の創立110周年の際は旧1000形2本それぞれにデ51形・500形の塗装を施した「京急110年の歴史ギャラリー号」「ありがとうギャラリー号」が運行されましたが、「京急120年の歩み号」ではそれらを1編成にまとめたような形となります。
プラレールは運行期間終了直前である2019年2月2日に発売されましたが、これが1500形初の製品化でした。京急のプラレールの事なのでいずれは通常仕様も出るものだと思われていましたが、その通常仕様は思わぬ形で発売されることになります。それが3編成がセットになった「トリプルセット」、しかも都営・京成との合同セットだったのです。
2019年3月、京急・都営・京成の3社局が相互直通運転を開始してから50年を迎えたことを記念し「京成・都営・京急 相互直通50周年トリプルセット」が発売されました。京成3050形、都営5300形、京急1500形がそれぞれの路線の行き先を表示した姿を再現して発売されたこのセットは絶大な人気を誇り、3000個限定の販売なのも相まって瞬く間に売れていきました。
京成3050形は2010年10月に京成グループの事業者限定品として発売されていましたが、2019年時点では入手困難品。都営5300形は2001年9月発売の6300形以来となる都営地下鉄の製品。そして京急1500形はこのセット発売当時「京急120年の歩み号」しか製品がなかったため唯一の通常仕様が手に入るとのことで、大いに話題になりました。
▲トリプルセットと共に。
先述したように「京急120年の歩み号」のうち、3号車は1500形の標準塗装のままです。つまり、トリプルセットの1500形の中間車を組み込めばいわゆる「フル編成」にすることができます。この目的でこのセットと共に「京急120年の歩み号」を一緒に購入する人も多かったようです。
このようにして短期間に2パターンの塗装が発売された1500形。製品化からしばらくの間は「120年の歩み号」とセット品の通常仕様のみのラインナップでしたが、同年9月に通常仕様が単品化され、容易に入手できるようになりました。
生産数が限られている限定品であるため、1500形のプラレールは2025年現在では既に絶版となっており、実車も新1000形による置き換えで数を減らしつつあります。2023年に導入された新1000形1500番台・1700番台は未だプラレール化されておらず、従来の1500形と同一の番号を持つということもあるため、製品化の際には「1500」同士のダブルセット…というような形態での登場に期待が寄せられます。
