text & photo:鉄道ホビダス編集部
取材日:’25.10.27 場所:若葉台車両基地
取材協力:京王電鉄

京王電鉄は、2026年1月31日からの運行開始が予定されている新型車両「2000系」の報道公開を若葉台車両基地にて行いました。この報道公開では3児の子育てを経験しているタレントの藤本美貴さんも駆けつけて、新型車両2000系のPRとともに、鉄道を利用する子育て世代へのアピールもされました。
【写真】京王線で2026年1月から運行開始!新型2000系の詳しいディテールを写真でもっと見る!
■丸みを帯びた外装デザイン 決定プロセスにはAIも活用
デザインのコンセプトは「もっと、安全に、そして安心して、これからもずっと、のっていただける車両を。全ての世代に、やさしく、そして、ワクワクしてもらえる車両を」とされ、全体的に円や丸みを帯びたデザインが印象的な車両に仕上がっていました。
この2000系の設計主体には女性社員も参画し、さらに内外装デザインのコンセプト決定のために利用客や社員にアンケートや座談会を実施。実際にベビーカーを借りるなどして、動線や置き方なども検討したといいます。その後シートや袖仕切り、吊り手の高さなどの内装設備に関する利用客目線のアンケートを、社内約760名から受けたほか、京王線を月に一度以上利用している旅客約1,300名にもアンケートを実施し、これらをもとにコンセプトを決定したとのことです。こうした新型車両のコンセプトの決定は、従来であれば社内のみで決定していたところを、今回の2000系では利用客を含めた多くの方々の意見をもとに決めていったそうです。
その後これらの意見を参考に車両メーカー側がデザインを数点制作。そこから「感性AIアナリティクス」と呼ばれるAI技術を活用し、コンセプトと車両デザインのマッチング度を算出。それをもとに最終的なデザインを人の目で決定したとのことです。
■子育て世代にも嬉しいフリースペース「ひだまりスペース」

5号車の大きな窓が印象的な「ひだまりスペース」。編成の中でも特に目立つ存在だ。
そして2000系の目玉設備とも言えるのが5号車に設けられたこの「ひだまりスペース」です。こちらは子育て世代からシニア世代まで、年齢や性別、目的を問わず安全快適に鉄道を利用できるようにと設けられています。また、こちらの設備のデザインにもラウンド型を多用しより親しみやすいイメージに仕上がっています。

ひだまりスペースも弧を描いたデザインが多用され、全体的に柔らかい印象に。
「ひだまりスペース」は広々としたフリースペースになっており、車いすやベビーカーでも安心して利用できる上、子供でも景色が見やすいように大型化された窓が特徴です。窓には手すりも設けられており、子供がこれに掴まりながら外の景色を楽しめるようになっています。外観でもこの窓は編成中のアクセントになっている印象でした。この「ひだまりスペース」という名称は社員により考案された複数案の中から、3案を選出。そこから一般利用者への愛称投票により決まったものとなります。
また、5号車という連結位置は、京王線内でエレベーターなどのバリアフリー設備が近い駅が多いのが5号車付近であったためとされています。
■今後は7000系の代替車として一旦4編成を増備予定

尾灯の点灯状態。ライトケースの中に円型の尾灯が光る。
今回の2000系はフルSiC素子を利用した最新のVVVFインバーターを装備することで、従来の抵抗制御車両と比較して約70%の省エネ性能向上を実現しているとのことです。
2000系は現在運行されている7000系の代替車両として、まずは2027年3月までに10両4編成(40両)を導入予定とされています。




