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長い長いトンネルを抜けた先の絶景に心奪われる!一度は見てほしい上越線・ほくほく線で見晴らす絶景車窓

2025.10.09

text & photo:鉄道ホビダス編集部 

 何気なく車窓を眺めていたはずが、まるで高台からの眺めのような壮大な風景に、思わず目を見張る──そんな“見晴らしのいい列車”に出会える旅を紹介する連載「全国絶景見晴らしの旅」。第二回となる今回は、上越線の越後湯沢〜上越国際スキー場前間と、北越急行ほくほく線の六日町〜魚沼丘陵間から見られる、素晴らしい車窓をご紹介します。

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■上越国境の山間を抜けて魚沼盆地の景色が開ける

 東京から新幹線で1時間半弱。鈍行で行けば、旅人泣かせの屈指の乗りとおしの難所である上越国境を越えて4時間。列車は関東を抜けて雪国へと進み、越後湯沢駅へと到着します。新潟に行くなら弥彦に行ってお参りするもよし、長岡で歴史に触れるもよし、新津や直江津の鉄道博物館に遊びに行くもよしと、見どころがたくさんですが、のんびり列車旅を楽しむとすれば、信越本線から見る日本海の車窓は外せないでしょう。となれば、ここから先は北越急行ほくほく線に乗り換えて犀潟・直江津方面を目指します。
 某鉄道運転シミュレーションゲームで見慣れた0番線ホームに行くと、2両の小さな列車が出迎えてくれます。18きっぷシーズン、上越線はかなりの混雑を見せますが、越後湯沢で乗り換えると、お金はかかるもののクロスシートまたは転換クロスシートのふかふか座席の列車で快適に列車旅を楽しむことができることは、旅人の知恵として覚えておいてもよいでしょう。
 さて、列車は谷川連峰を越えてきた上越線のレールの上を走り、越後平野へ向かって少しずつ標高を下げながら北へと向かいます。ガーラ湯沢駅の横を抜け、魚野川に沿って進むと、まもなく左にカーブして進行方向右手に魚沼盆地が見えてきます。石打の街を過ぎ、石打駅を出発すると、線路はまっすぐ北へと向かい、魚沼丘陵の裾を進みます。ここからが今回の見どころです。

▲出発を待つほくほく線直江津行き。18きっぷ利用の際は出発前にほくほく線内の運賃を精算する。

■魚沼盆地を見晴らして、田園風景を満喫!

 列車は魚沼丘陵の裾に沿いながら、魚沼盆地のなか、六日町に向かって少しずつ下っていきます。この山裾の区間が今回の車窓の一つ目の見どころ。上越国際スキー場前駅までの区間、目の前には一段低いあたりに田んぼが一面に広がります。川向うには越後山脈がはるばる連なり、のどかな景色と雄大な自然を一目に楽しむことができます。
 途中、大沢駅の近辺まで行くと、田んぼと線路の高低差が小さくなり、また集落が近づいて景色が混み入ってしまいますが、大沢駅を出てから上越国際スキー場前駅までの少しの間、魚野川の対岸、舞子の方まで一面に広がる田園風景を味わえます。

▲ほくほく線のクロスシートに乗りながら魚沼盆地を眺める。奥は越後山地。

 その先、さらに列車が進むと、塩沢から六日町までは市街地が広がり、車窓はそこまで変わり映えのしない風景となります。しかし、ほくほく線に乗っていると、六日町からまたひと味違う美しい車窓を楽しめます。低地部へせっかく下ってきた列車でしたが、六日町を出発し、線路が上越線から分岐すると、再び魚沼丘陵に向かって盛土を登り始めます。北陸新幹線の開通前、北陸方面への速達輸送を担ったほくほく線は、田園風景とは一見不釣り合いにも思える高規格な路線として建設されました。列車は緩やかなカーブを曲がりながら田んぼの真ん中を突っ切って、魚沼丘陵を貫くトンネルへと吸い込まれていきます。この魚沼丘陵駅までの間、田んぼを突っ切るこの区間が二つ目の見どころです。関越自動車道を越えて列車が西側を向くと、車窓には遠く八色の方まで北方の田園風景が広がります。米どころ南魚沼を象徴するような、一面の田んぼが山々に抱かれるその景色は、新潟に来たその実感を一段と高めてくれるでしょう。

▲六日町─魚沼丘陵間の車窓。夏真っ盛り、雄大な景色が広がる。なお、この先のほくほく線はもっぱらトンネルになるので、面白みは少々欠ける。

 さて、「全国絶景見晴らしの旅」、第2回は上越線 越後湯沢〜上越国際スキー場前間・北越急行ほくほく線六日町~魚沼丘陵間の車窓をお届けしました。この区間は見晴らす景色と線路との高低差がそこまで大きくないようにも感じますが、実は越後湯沢駅から上越国際スキー場前駅までは150mほどの標高差で、十分に坂を上り下りしている区間であり、上越線・ほくほく線の旅を彩る良い車窓といって間違いはありません。雪解けの春も、初夏の青々とした車窓も、秋色の景色も、はたまた鈍色の雪景色も、四季折々何度も楽しめるこの車窓を、ぜひその目で見に行ってみてはいかがでしょうか。
 季節が巡るたびに表情を変える日本の車窓風景。列車に乗るたび、いつか見た景色がまた違って見えるのも、旅の醍醐味かもしれません。「全国絶景見晴らしの旅」、次回もそんな一期一会の車窓を探しに、あなたを旅へとお連れします。

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