text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回はプラレールにおけるE233系の歴史について振り返ります。JR東日本の首都圏を中心に幅広い活躍を続けるE233系。もちろんプラレールでも多彩なバリエーションが展開されています。中には入手が難しいレア物も含まれるとか…?(編集部)
【写真】ずらり大集合!プラレールのE233系の細かい違いを写真でもっと見る!
2006年に中央快速線でデビューして以来、2025年現在も首都圏のJR各線で主力車両として活躍しているE233系。プラレールでは実車のデビュー翌年、2007年3月発売の「中央線スペシャルセット」にて「E233系(特別快速)」として初登場しました。同年6月22日に車両単品「S-30 E233系中央線」が発売され、以後実車の投入線区拡大や仕様変更に合わせて数々のバリエーションが世に送り出されました。
今回はそのE233系のうち、2014年以降に登場した新型の動力、通称「新メカ」を搭載したものを中心に、その歴史を振り返っていきます。

▲2025年3月発売の「S-30 E233系中央線(2階建てグリーン車)」と、その前身である「S-30 E233系中央線」
冒頭で述べたように、E233系のプラレールは2007年3月に発売された中央線仕様が最初の製品となります。初登場となる「中央線スペシャルセット」では特別快速仕様となり、後に発売された単品では通常の快速仕様とされています。
当時最新型の車両であったにもかかわらず、新規造型となったのは前面パーツのみ。車体は1993年7月に発売された209系がモデルの架空車両「人形あそび 通勤電車」で初出となったものを流用しており、209系の車体をE233系に見立てていることになります。これはE233系に限ったことではなく、E217系・E231系・E501系・E531系をはじめとしたJR東日本の新系列車両をはじめ、JR東海の313系、JR西日本の207系・223系・321系、JR九州の811系・813系、さらには西鉄3000形と、平成初期から半ばまでにデビューしたステンレス車体の電車を製品化するために幅広く採用され、一部のファンの間では「汎用金型」と通称されているほどプラレールでは目にする機会が多い車体となっています。
セット・単品の違いや、動力更新、再販、塗装の違いなどを含めると、2025年9月現在で実に47種類もの製品が存在し、プラレールの同一金型で複数の系式を再現しているものとしては最多です。そしてその中でもE233系が特に多く、18種類が存在します。製品としてはまだ20年に満たないものですが、車体だけ見ると実に32年の歴史を持つ古参金型で発売され続けているという、よく考えてみると面白い歴史を持つ車両となっています。
この「汎用金型」の中間車には複数の仕様が存在し、サウンド車・プラキッズ搭載車・通常仕様車の3パターンがありますが、E233系に関してはダブルデッカーという例外を除いて全てが通常仕様で発売されていることも特筆できます。
さて、2007年には中央線に続いて京浜東北線にもE233系1000番代が投入されました。プラレールでは京浜東北線209系の置き換えが全て完了した2010年3月に「S-33 E233系京浜東北線」として製品化されています。2008年にデビューした湘南色の東海道線仕様車は製品化が遅れ、2013年3月に「S-61 E233系湘南色」として発売。E217系・E531系のデフォルメを踏襲し、211系のダブルデッカー中間車を組み込んだ姿となりました。

▲横浜線と南武線はレアモノ
全国流通品のいわゆる「S品番」として発売されたのは上記3色に留まりましたが、実車は他にも京葉線・横浜線・南武線・埼京線・常磐緩行線にも投入されています。常磐緩行線の2000番代は2025年現在に至るまで製品化されていませんが、他の線区のものはどれも製品化されています。上記3色以外で初めて製品化されたのは、2011年5月20日に東京駅地下「東京キャラクターストリート」内にオープンした「プラレールショップ」の限定品として用意された「京葉線」でした。
2013年には一回生産の限定品ながらも全国流通品として展開していた「ぼくもだいすき!たのしい列車シリーズ」の一つとして「埼京線」が、翌2014年3月には新動力車のE233系新製品としては最後のものとなる「横浜線」が、2015年3月には新メカ化後同シリーズ初のE233系製品「南武線」が登場し、当時続々と投入されていた新たなカラーが出揃いました。なお、「南武線」の発売に先立ち、通常品の「中央線」「京浜東北線」も2月に新メカ化されています。
同年6月には「湘南色」も新メカ化、続いて8月には好評につき絶版となっていたショップ限定品の「京葉線」が新メカ化の上で再販されています。2017年3月には埼京線から205系が撤退しE233系に統一された事を反映してか、新動力仕様のまま「埼京線」が再販されました。この再販は鉄道博物館館内の限定品としての流通となり、2019年に新メカ化と箱更新を実施、現在まで発売され続けています。
2014年に発売された「横浜線」はその人気っぷりからすぐに品薄となり、全国流通品ながら入手困難な期間が続きましたが、2018年に例に漏れず新メカ化の上で再販。この時、実車のラッピングが一部解除された姿が再現され、再販という体ながらも初出時とは異なる形態となっています。
限定品での展開が落ち着きを見せてしばらく経った2021年6月、「湘南色」が実車の併結運用を遊びに取り入れるためにリニューアルされ、「S-31 E233系湘南色(専用連結仕様)」として既存のものを置き換えて登場しました。連結して遊ぶ際にダブルデッカーの編成同士が繋がるのを避けるためか、中間車が平屋となっています。
2025年3月には中央線でグリーン車の運用が始まったことを反映した「S-30 E233系中央線(2階建てグリーン車)」が登場。2007年以来、18年間に渡って生産され続けた平屋仕様が絶版となりました。このダブルデッカーは既存の「S-27 E235系横須賀線」の中間車をベースに新規設計されたものを連結しており、新たなバリエーションの誕生となった事も話題を呼びました。
また、同じく3月にプラレール初の試みとなる「地域限定品」がスタートし、第1弾の関東向け車両として「京葉線」が二度目の再販を果たしました。
このように、首都圏の各線区で主力車両として走っているE233系は多彩な展開を見せています。実車のデビューから既に19年が経ち、実車は今後の動向が気になる段階に入ってきています。とは言え、数を減らすにはまだまだ早い形式です。プラレールでの展開共々、今後が注目される電車です。




