text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は2021年に発売された「さよならE4系新幹線Max&E7系上越新幹線(朱鷺色仕様)」にクローズアップ。上越新幹線の新旧車両のセットですが、プラレールにおける両車の歴史を振り返ります。(編集部)
【写真】実は発売はどちらも消滅後 ピンク帯がアクセントのE4系とE7系のセット写真をもっと見る
たびたび取り上げているプラレールの新幹線。東海道新幹線の開業以来、現在に至るまで数多の商品が発売されており、同じ車種でも形態まで見ると千差万別となっています。今回はそんな新幹線製品のうち、以前の連載の上越新幹線40周年記念の際に取り上げたE4系とE7系のバリエーションの一つ「さよならE4系新幹線Max&E7系上越新幹線(朱鷺色仕様)」を、両形式のプラレールでの歴史を振り返りつつ紹介していきます。

▲2021年11月に発売された「さよならE4系新幹線Max&E7系上越新幹線(朱鷺色仕様)」
2021年11月に、同年10月に引退したE4系と、2019年3月から2021年3月まで運行されていたE7系の朱鷺色仕様を合わせたダブルセットが発売されました。どちらも比較的消滅してからすぐのリリースではあったものの、発売時点で既に見ることができなくなった2車種のセットという点では、新幹線の製品としてなかなか異彩を放つものとなりました。
この2車種はそれぞれ「オール2階建て新幹線の二代目」と「北陸新幹線延伸開業用の新形式」というネームバリューを持つためか、プラレールの新幹線の中でも多彩なバリエーション展開が行われていたことが特筆できます。
E4系は1997年12月に実車がデビュー、プラレールでは1998年6月に「E4系新幹線 Max」として発売されたのが最初になります。既存のE1系中間車の機械室表現を消去してE4系の中間車にも流用が効くように金型を改修の上、E1系とE4系で中間車の型を共有できるようにするという、当時としては少々珍しい手法を採用しての製品化となりました。
2002年の「新幹線一斉リニューアル」の際は、車体下部の青塗装を濃いめの色に変更して実車に近づけ、台車カバーと屋根の滑り止め・クーラーへの塗装、「Max」ロゴの貼り付けが行われています。2005年には増結用の「F-04 E4系新幹線Max 中間車」も発売されました。
2006年4月にはE4系初のオールインワンセット「E4Max車両基地レールセット」が発売されました。このセットで初めて連結仕様の後尾車を採用し、他の連結仕様の新幹線と繋げて遊べるのはもちろん、E4系同士も連結させて実車同様の重連運転も再現できるようになり、人気の商品となりました。2009年6月にはE3系2000番代との連結運転を反映した「E3系2000番代つばさ&E4系Max連結セット」が発売されますが、車両単品の方は2014年の動力更新(新メカ化)まで非連結仕様のままとなりました。動力更新後は「S-10 E4系新幹線Max(連結仕様)」と名前を変え、翌2015年には実車の塗装変更を反映したピンク帯の姿に更新。引退後の2025年現在でもラインナップに載り続けています。このため、黄色帯の「新メカ」仕様は短期間の発売で終わりました。2010年1月には、ラッピング車両を製品化した「ポケモン新幹線 E4系Max」が流通先を限定して発売されています。
2017年10月に発売された「新幹線アニバーサリーセット」は400系旧塗装と黄色帯E4系の併結が再現可能な内容となりましたが、E4系には動力が積まれない無動力仕様でした。2022年9月には、山形新幹線開業30周年と東北新幹線開業40周年を記念して「400系つばさ&E4系Max連結セット」が発売され、2017年のセットとは異なり両形式とも動力付きでの登場となりました。そして2021年11月に「さよならE4系新幹線Max&E7系上越新幹線(朱鷺色仕様)」にて、さよなら装飾仕様の登場へと至ります。
この他、懸賞などの非売品で銀メッキ仕様と無色クリア成型仕様も存在しています。人気の新幹線だったという事もあり、発売から27年が経ち、実車が引退して以降もラインナップに載っているE4系。今後の処遇が気になる形式です。

▲E4系はさよならロゴが貼られ、E7系もピンクの帯が入る。
続いて、E7系です。デビューから10年以上が経過しましたが、北陸新幹線の延伸開業を見据えて登場した完全新系式であり、JR東日本とJR西日本の共同開発によるE7系・W7系の2系式の運用となったことから注目の新幹線となりました。プラレールにおいてもデビュー当時からプッシュされており、この「朱鷺色仕様」を含め、多くのバリエーションが存在します。
E7系の編成としてのプラレールは2014年4月に発売された「E7系北陸新幹線かがやき立体レールセット」で初登場しました。またそれに先立ち、3月には当時展開していた「テコロジー」のシリーズとして「TP-06 E7系北陸新幹線かがやき」が発売されており、立体レールセットと合わせることで後尾車をライト点灯仕様として遊べるという売り込み方が行われました。同年11月には「いっぱいつなごう!E7系北陸新幹線かがやき&サウンド駅セット」を発売。5両編成のセットとサウンド機能付きの駅が合わさったもので、なかなか豪華なものとなりました。
2015年6月には早くも変わり種が登場。「ふえではしるぞ!笛コンE7系北陸新幹線かがやき」はその名の通り、付属の笛で遠隔操作が出来るというラジコン系の製品となりました。
2015年10月には某有名玩具店の特注品として「いっぱいつなごう!E7系北陸新幹線かがやき&トミカ駅前ロータリーセット」が発売され、既存の情景部品である「駅前ロータリー」と、サウンド駅セットの5両編成を合わせた内容となりました。2016年には中間車単品「KF-03 E7系新幹線中間車」が発売されましたが、当時は単品のE7系が未発売だったため「笛コン」の増結用として買われることが多かったようです。
2017年4月には再び変わり種が発売されます。「にぎやかアナウンス!サウンドE7系新幹線かがやきレールセット」のE7系は新開発の「サウンドシャーシ」を搭載し、従来のサウンド車のような実車ベースの音に加え、走行した距離を計測して「今までに100m走ったよ!」といったアナウンスが流れるギミックまで入っていました。同年のプラレール博では入場記念品として中間車が選ばれ、屋根に「プラレール博」ロゴが印刷されている特別仕様として配布されています。
2018年2月には非売品として「クリアブルーバージョン」が登場。車体色を無色クリア成型としつつ、ノーズから屋根にかけて流れる青い帯をクリアブルーにするという意欲的な製品となりました。これまでのE7系はライト機能を持ちませんでしが、同年9月に発売された「トンネルを照らそう!ライト付E7系新幹線かがやきベーシックセット」にてハイパワーライトを搭載したタイプが登場しています。デビューから5年が経過した2019年になるとE7系の展開も落ち着きを見せますが、同年に上越新幹線での運用が始まったことにより、まだまだ「注目の新幹線」の立ち位置から外れず、引き続き商品展開が行われていきます。
2021年に今回取り上げている「さよならE4系新幹線Max&E7系上越新幹線(朱鷺色仕様)」が発売され、2022年7月にとうとう単品として「S-05 ライト付E7系新幹線かがやき」が登場。同時に廉価版プラレールとして一時期展開してた「ESシリーズ」でも「ES-04」として発売されています。
同年12月には中間車3両をクリア仕様にして海鮮物のフィギュアを乗せるという一風変わった「海鮮おとどけ列車 E7系新幹線かがやき」が発売され、こちらもそのインパクトあるスタイルから話題となりました。
北陸新幹線敦賀延伸を控え、2023年11月にはESシリーズのものをW7系としたオールインワンセット「W7系北陸新幹線かがやき 鉄道道路併用橋セット」が発売されました。同月には再び抽選配布の非売品として「特別クリア仕様 W7系新幹線かがやき」が登場。2018年にE7系のクリア版が配布されているため、編成番号で区別するという、コレクターズアイテム性の強い逸品となりました。
このように、元々幅広い展開を行なっているプラレールの新幹線の中でも、E4系とE7系は特にバリエーションが多い部類に入ります。E4系・E7系ともに14種類の製品が発売されています。
実車の動向を反映したものもあれば、プラレールのオリジナル要素を加えたものもあり、長期に渡り生産されている新幹線各車両でもここまで多彩なバリエーションを誇るものはなかなかありません。今後登場が予定されているE10系もプラレールになると思われますが、その時はどういった展開を見せてくれるのか、今から楽しみです。




