text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は先日営業運転を終えたばかりの「カシオペア」にスポットを当てます。プラレールにおける「カシオペア」は2000年6月の発売ですが、実は他のある車両と共通点がありました。(編集部)
【写真】プラレールの「カシオペア」E26系と20系客車 その意外な共通点とは?写真をもっと見る
2025年6月30日、寝台特急「カシオペア」がラストランを迎えました。「カシオペア」は専用の客車であるE26系と共に1999年にデビューした寝台特急で、2016年の定期運行終了後は「カシオペア紀行」「カシオペアクルーズ」をはじめとした団体専用列車として運行が続けられていたJR東日本の代表的な豪華客車列車でした。
登場時はその話題性もあり、プラレールでも運行開始から約1年後の2000年6月22日に製品化されています。新規造型で登場したプラレールのカシオペアは、牽引機更新のリニューアルを挟みつつ2025年現在も定期運行時の姿でラインナップに載っているロングセラー商品となっています。さて、このプラレールの「カシオペア」ですが、実は他の製品とは違う、少し変わった特徴を持っています。

▲プラレールの「カシオペア」。こちらは2010年に発売されたリニューアル版。2025年現在もラインナップに載っている。
先述の通り、2000年6月22日にプラレールび「カシオペア」は発売されました。専用塗装のEF81、カハフE26形、スロネフE26形の3両編成で、現在に至るまで中間車の製品化はされていません。発売当初は製品一斉リニューアル前だったということもあり、新型車両ながら昔ながらのプラレールらしい黄色車輪を装備していました。2010年に牽引機がEF81からEF510 500番代に更新されると、プラレールもこれに追従し2010年12月にリニューアルが行なわれ、カシオペア色のEF510 509号機との組み合わせに変わりました。当初はメタリックシルバーで塗装されていたE26系の車端展望室部はこのリニューアルを機にシンプルなグレーの塗装となってしまいましたが、同時に車輪もグレーのものに変わり、当時のラインナップに合わせたグレードアップが図られています。カシオペアを牽引するEF510 500番代は北斗星牽引機と共通運用だったこともあり、同月に発売された「EF510寝台車セット」では北斗星色のEF510 500番代とカシオペアの組み合わせも再現されています。単品と同時期の発売ですが、セットに同梱されていた北斗星の24系に合わせてか、こちらは黄色車輪のままでした。
車両の設計にあたっては、他の製品でも使われている標準的な台車、いわゆる「電車台車」規格が採用されていますが、中間車となるカハフE26形については少々事情が異なりました。

▲E26系と20系。
1999年1月に発売された「カートレイン」にて、当時既に引退済みだった20系客車が製品化されました。この時、20系ナハネフ22形の特徴的な展望室の形状に合わせた台車が開発されました。20系以外では使い道のなさそうなこの台車でしたが、翌年に思わぬところで再利用されます。それがこの「カシオペア」でした。曲面側にフック型連結器があるため、カシオペアではカハフがこの台車を装備し、スロネフは通常の電車台車を装備しています。
製品の開発時期が近いため、元々20系とE26系の台車を共通化させるつもりで開発したのか、20系用に開発したものが新型寝台客車にも使えそうだからと流用したのかは不明ですが、結果的に「カートレイン」が絶版となってからも生産され続ける特殊な台車となりました。固定編成で展望車付きの寝台客車という以外はあまり共通点のない2形式ですが、このようにプラレールでは「生産の都合上」で発生した意外な共通点を持っています。
定期運行終了後の現在も発売され続けているカシオペア。牽引機のEF510 500番代も既に過去の姿となり、実車も約26年に渡る活躍に幕を下ろしましたが、プラレールではもうしばらくその姿を見ることができそうです。
■【新刊情報】さらば、寝台列車「カシオペア」 まもなく発売!



「カシオペア」の25年以上にわたる活躍を振り返る
さらにともに北へ向かった寝台列車や現役夜行列車にも注目!
デビューから25年以上が経過し、ついに先日運行を終えた寝台列車「カシオペア」。本誌ではそんな「カシオペア」用客車E26系の車両概要を中心に、長年の活躍を貴重な写真と共に振り返ります。
巻頭には読者投稿写真による美しいグラフページを収録。また、EF81やEF510、さらにはED79、DD51などといったバリエーション豊かな歴代牽引機のほか、「カシオペア」と共に北へ駆け抜けた名列車たち、そして現在も乗れるクルーズトレイン・寝台・夜行列車などにも触れて、今も脈々と続く夜行列車たちにもフィーチャーします。
さらには鉄道模型における「カシオペア」の楽しみ方を掘り下げるほか、鉄道玩具といったアイテムとしての目線からも「カシオペア」を振り返り、同列車の集大成に相応しい一冊となります。
タイトル:さらば 寝台列車「カシオペア」
定価:1,650円(税込)
発売日:2025年7月7日




