text:鉄道ホビダス編集部
‘19.2.26 東北本線 大宮 P:藤原匡秀
(鉄道投稿情報局より)
1999年、上野から札幌までを結ぶ新たな寝台特急として登場した「カシオペア」。E26系客車は、この「カシオペア」用の客車として新造され、1987年の国鉄分割民営化以降、初めての新系列客車としてデビューしました。
当時すでに新幹線網が発達しつつあり、寝台列車も縮小傾向にあった中でしたが、今までにないコンセプトを持った客車列車ということで注目を集めました。近く引退が予定されている現在においても、その人気は衰えることを知りません。
■全車個室寝台となる車内
P:鉄道ホビダス編集部
国鉄時代のブルートレインは、基本的にカーテンで仕切られたベッドが並ぶ「開放式寝台」が主流でした。全国的に活躍したことから、こうした寝台を懐かしいと思う方も多いかと思います。しかし時代の変化により、寝台ごとに個室で区切られた「個室式寝台」がJR化と前後して徐々に台頭してきました。
そうした時代の流れの中で登場した「カシオペア」はなんと全車個室寝台である上に、そのすべてがA寝台という、前代未聞の編成で登場。さらに先に登場していた「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」では国鉄時代からの24系を改造して登場しましたが、このE26系は完全新造な上に、非常に珍しいステンレス製客車としてデビューを飾ります。
■エンジン音を楽しめる「カハフ」のラウンジ
P:鉄道ホビダス編集部
E26系の電源車であるカハフE26形は、ハイデッカー構造を持つラウンジとして利用できます。このラウンジは大きな曲面ガラスが連続し、車端部では展望も楽しめる車両ですが、何より特筆すべきは動力集中式の客車において、その電源車部分に乗客が乗れるということ。つまり、エンジンサウンド直接聞くことができます。通常運行時はラウンジスペースには音楽が流れていますが、それでも床下から響くエンジンの高鳴りを感じられるのは、レイル・ファンにとっては至高の瞬間でしょう。
■色褪せない魅力をいつまでも
‘25.05.18 東北本線 上野~尾久 P:桑原浩幸
(今日の一枚より)
1編成しか存在せず、毎日同時に上り・下り列車をそれぞれ発車させることができないため、かつては臨時列車扱いで上野〜札幌間を半定期的に運行していた「カシオペア」ですが、2016年3月の北海道新幹線の開業直前に廃止されます。とはいえ、単なる「移動」ではなく、列車旅そのものを楽しむという需要は絶えず存在していた上、E26系自体も2016年の列車廃止時まだ車齢は17年ほどと、他の国鉄型客車と比べて経年が浅いこともあり、その後も「カシオペアクルーズ」や「カシオペア紀行」といった団体列車でE26系の活躍は続くことになりました。
とはいえデビューから25年以上が経過し、さらに予備車もないなか、長距離運転と、冬の北海道や地上の気候と全く違う青函トンネルの通過など、厳しい環境下での運行であったこともあってか、車体の老朽化が進行。各報道により2025年6月をもって運行を終える予定となっています。
新幹線が開通してもなお、長い間愛された「カシオペア」。こうしたコンセプトを持った寝台車両は、今後再び現れることはあるのでしょうか。
■26年の感謝を込めて!「さらば、寝台列車カシオペア」7月発売!
デビューから25年以上が経過し、いよいよ引退の時が近づいてきた「カシオペア」。本誌ではそんな「カシオペア」のデビューの頃から現在に至るまでの活躍を中心に、共に北へ駆け抜けた寝台列車や、現在も乗れる寝台・夜行列車などにも触れていきます。
さらには模型や鉄道系玩具といったアイテムとしての目線からも「カシオペア」を振り返り、同列車の集大成に相応しい一冊となります。発売は7月7日を予定!お楽しみに。
タイトル:さらば、寝台列車カシオペア
定価:1,650円(税込)
発行年月日:2025年7月7日
■本にあなたの写真を掲載してみませんか?寝台列車写真投稿募集中!
上記の本に掲載する写真をただいま鉄道ホビダスでは代募集中!メインとなる「カシオペア」に加えて、「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」など、「カシオペア」に影響を与えた列車たちの写真も追加募集中!応募は下記バナーから!