text & photo:RM
取材日:’25.3.30 場所:新金谷車両区
取材協力:大井川鐵道
大井川鐵道では、西武鉄道から譲渡を受けたE31形電気機関車を3両(E32・33・34)所有しており、3両とも西武時代の塗色を維持したまま活躍してきましたが、この度そのうちのE34が国鉄/JRのEF65形500番代、通称P型のブルートレイン塗装に変更されました。
実機がEF65のショーティー的デザインなだけに、塗装もよく似合っています。
もともとE31形は、西武鉄道時代に兄貴分に当たるE851形をショーティー化したような車体デザインを持って誕生しました。そしてE851形は誕生当時の国鉄標準型機であるEF65を西武流にアレンジした車体を持っていました。つまりE31形には国鉄流デザインが部分的に反映されており、今回の国鉄機の塗装を反映させるという取り組みは大変興味深いものだと言えるでしょう。
車庫で報道陣にお披露目されたE34。前面の飾り帯と「ED31 4」の車番が強い反射できらめいています。
本企画の支援者である産経新聞社・久保木さんと、鳥塚・大井川鐵道社長によるテープカット。
よく見ると、飾り帯下のルーバーもステッカーによる表現となっています。
E31形は本来は電車用のDT20形台車を履く関係もあって車体裾が電気機関車としては低い位置にあります。言い方を変えるとやや胴長短足なところが、EF65とは大きく異なる点で、これをいかに違和感なく落とし込むかというところに工夫が凝らされているようです。
E31形のオリジナル塗装でも車体裾に黒帯を巻くことで視覚的に胴長感を払拭する工夫がなされていますが、今回の塗装では側面下部にその処理を踏襲(ただし帯幅は細くなっています)している一方で、前面部では本来のスカートより上の範囲までねずみ色にすることで、ブルートレイン塗装の特徴が再現されています。
また、EF65形を模したメタリック感ある飾り帯もシール素材にて再現。前面の中央には一種の洒落として「ED31 4」という車番が記されています。もっとも、書類上の形式変更は行われておらず、この車番はあくまで飾り。本来の「E34」という車番は側面にはちゃんと残されています。
同機は公開当日の3月30日よりさっそくSL急行の後補機として営業運転を開始。ブルトレ「富士」のヘッドマークも勇ましく、沿線では多くのファンから喝さいを浴びていたとのことです。