text:鉄道ホビダス編集部
取材協力:京成電鉄
photo(特記以外):RM
京成電鉄の新しい通勤型車両として、先日3200形が公開されました。同車は「人や環境にやさしいフレキシブルな車両」をコンセプトとしており、京成線内のさまざまなニーズに応えられる車両となっています。そんな中、レイル・ファン的に気になるのは3200形の詳細に加えて、老朽化した従来車の行方でしょう。ここでは3200形の仕様をご覧いただきつつ、今後が気になる従来車の現状をおさらいしていきます。
【写真】京成3200形はどう「フレキシブル」なのか?京成の従来車も写真でおさらい!
■4両・6両・8両と自在な編成構成
京成線内では路線や種別ごとに4両・6両・8両の編成が運用されています。近年まで京成の新型車両は、6両固定か8両固定しか製造されなかったため、長らく4両編成の運用は3500形を中心とした旧型車の独壇場でした。こうした車両の置き換えも対応した車両として3200形は導入されます。2両で1ユニットとしている3200形は、2ユニット連結の4両、3ユニットの6両、4ユニットの8両と、京成線内で必要とされる両数全てをカバーできる自在さがウリです。
それぞれの編成構成は6両編成では先頭車と中間車が、8両では先頭車同時を連結させるため、前面に貫通路が設けられており、さらに増解結作業を簡略化するために京成電鉄では初となる密着連結器と電気連結器を採用したのにも注目です。
■車号は3700形以来の「連番方式」
京成では3000形登場時にハイフン付きの番号となり、例として「3001-1、3001-2…3001-8」のような形とされました。2019年登場の3100形でも同様の付番でしたが、3200形では3700形以前までと同様の連番方式に回帰。例として成田空港寄りのMc2から3201・3202(M1)・3203(M2)・3204(Mc1)というように改められました。これは編成両数の増減が見込まれることから、号車を固定しないためとされています。
■従来車の現状は?
▲3200形による置き換えが予定されている3500形。写真の編成先頭に立っているモハ3525は、2025年1月現在中間に挟み込まれている。
‘15.3.22 京成電鉄 本線 町屋〜千住大橋 P:上石知足
この3200形は、まず3500形からの置き換えを予定しています。2025年1月現在残る3500形は6連5本と4連3本、そして芝山鉄道へリースされている4連が1本です。
3500形は全車抵抗制御車でありながら、1996年より大規模な更新工事が行われたことに加え、最短の4両での運用ができるだけでなく、6両や8両も組成可能なことから長らく重宝されてきました。これらの特徴を受け継ぐ3200形によって、50年以上の長寿を誇った3500形もいよいよ引退の時期が迫ってくるようです。
また、6連と4連でそれぞれ1本ずつとなってしまった3600形も、予断を許さない状況と言えるでしょう。幸い、6連でファイアーオレンジ帯のリバイバル仕様となる3688編成は、2024年末に検査出場をしていることから、まだしばらくは活躍する姿を見ることができそうです。
4連で残るのはVVVFインバーターに改造されている3668編成(通称:ターボ君)で、金町線を中心に活躍しているほか、全M車という特徴を活かし、京急線から新車搬入をする際の牽引車としても活躍しています。これらの役目も3200形に受け継がれるのかどうかが注目されます。
▲3418編成の出場試運転の様子。現在この編成は廃車済み。
‘13.9.13 京成電鉄本線 ユーカリが丘 P:吉原大貴
(鉄道投稿情報局より)
そして初代AE車からの床下機器を流用している3400形も気になるところです。すでに3100形の登場により玉突きで本線へと移籍した3000形(50番代)によって置き換えが進行したものの、現在は一旦落ち着いたのか、3448編成1本のみが長らく孤軍奮闘しています。
3400形は都営・京急方面への乗り入れも行うことから、現状他社直通運用の運行は未定としてる3200形による置き換えは不透明ですが、数が揃ってくれば直接置き換え、ないしは玉突きによる置き換えも十分考えられます。
さらに4月から「松戸線」として京成電鉄の一部となる新京成線の老朽車置き換えも、ゆくゆくは3200形が担うこととされており、フレキシブルさを活かして「京成電鉄のスタンダード」となることは確実になっていきそうです。
自在な編成構成が組める3200形と、それにより消えゆく従来車。京成電鉄の車両は今大変革の時を迎えようとしています。