185系

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今も数多く活躍!大所帯の先頭車化改造車「クモハ115-1500番代」の歴史とは?

2024.12.13

text:MSかぼちゃ(X:@MS3167)

 111系・113系・115系といった直流近郊型電車の研究を活動のメインとし、鉄道系サークル「日本かぼちゃ電車学会」の主宰も務め、動画や同人誌でその成果を発表しているMSかぼちゃさんの連載!「徹底研究!国鉄近郊型電車113系115系」。今回は国鉄時代に登場した115系の先頭車化改造車「クモハ115-1500番代」にクローズアップ。数を減らしつつある同系式ですが、そんな中でもまだ数多くの車両が活躍しているグループです。(編集部)


【写真】大所帯のクモハ115-1500番代!その他の写真はこちら!

 1980年代中頃以降、急激にその数を増やしていった115系の改造先頭車。現在では見られなくなった区分も多いですが、一部の区分は今でも現役で運用されています。
 その中でも、1983年に登場した「クモハ115-1500番代」は、2024年12月現在でも30両以上が活躍しており、登場以来先頭車化改造車グループの最大勢力を保っています。
 今回は、そんな彼らについて解説していきましょう。

▲166両が改造されたクモハ115-1500番代。今もなお岡山でを中心に多くが活躍している。

‘18.3.25 糸崎 クモハ115-1511 P:おれんじらいん

 クモハ115-1500番代は、モハ115-1000番代の先頭車化改造車として、1983年に登場しました。
 115系の先頭車化改造車はこれまでに数多くのバリエーションが登場しており、中には特徴的な外見をした車両も多くありましたが、この車両に関しては外見上は純正の先頭車であるクモハ115-1000番代と比べてもベンチレーターの数程度しか違いがなく、先頭車化改造車の中では比較的地味な存在でした。
 しかし、この車両最大の特徴はその改造数にあります。1986年までの3年間に51両が、JR化後もJR東日本により1992年まで改造が続けられ、最終的には66両の一大グループとなりました。

▲ラストナンバーの1566番は1992年の改造。1500番代の特徴である先頭部の通風器が1台少ない様子がよくわかる。

‘17.1.21 高崎 クモハ115-1566 P:MSかぼちゃ

 これは先頭車化改造車としては非常に多い数で、種車であるモハ115-1000番代の製造数が127両であるため、実に半分以上の車両に改造が施工されたことになります。
 また、115系1000番代自体も投入は1978年と比較的新しいため、早い車両では新製から2年ほどで先頭車化改造が行われています。
 なぜ、ここまで多くの車両が製造から短期間で改造が施工されたのでしょうか。これには、当時の国鉄を取り巻いた状況が関係しています。
 1500番代が登場した1983年は、丁度国鉄が各地で短編成高頻度化施策を全国に広め始めた時期で、115系が活躍した地区では山陽地方や長野・新潟地区がその対象になりました。
 しかし、これらの地区には主力車両として115系1000番代が大量に配置されており、5両や6両といった比較的長編成で運用されていました。
 これらの車両をすべて3両や2両の短編成に短縮する必要があったため、クモハ115-1500番代はこれほど多くの車両が改造されることになったのです。

 66両が改造されたクモハ115-1000番代ですが、2024年12月現在でも30両以上が現役で運用されています。
 そのほとんどはJR西日本に在籍しており、岡山区に28両、下関所に4両が配置されています。
 JR西日本に継承された115系1000番代は、ごく少数の東日本からの転入車を除けば全て岡山電車区に新製配置されているのですが、これらの車両は全て6両で新製されており、クモハは新製されませんでした。
 このため、JR西日本に配置されたクモハ115は300番代と民営化後の先頭車化改造車を除けば全車が1500番代となっているのが特徴です。
 現在は岡山地区の主力である3連D編成や伯備線を中心に活躍する2連G編成、下関地区の2連T編成の先頭車として活躍していますが、体質改善工事によりベンチレータが撤去されており、外見から改造された特徴を伺うことは困難です。

 しなの鉄道にも、少数ながら2両の1500番代が配置されています。
 S8編成のクモハ115-1529とS9編成のクモハ115-1527が該当しますが、このうち前者は観光列車「ろくもん」に改造されており、車内外の各所に改造が施工されています。
 しかし、これらの車両はJR西日本に継承された車両と異なりベンチレータが残存しているため、外見上の最大の特徴である2基のみ設置されたベンチレータを観察することができる最後の2両となっています。

▲横須賀色で人気のしなの鉄道S9編成だが、現在最も原形に近い1500番代を連結した編成でもある。

S9編成 P:ぼん

 66両が改造され、今でもその半数ほどが活躍する先頭車化改造車、クモハ115形1500番代。115系の改造車としては比較的地味な存在ですが、もしかすると最後まで残る改造車はこの形式かもしれません。

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