text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は11月に発売になったばかりの「島式ホームキット」をご紹介!展開中の「プラレールリアルクラス」シリーズ向けの情景部品で、従来のプラレールの駅とは異なる実感的ななディテールが注目を集めています。(編集部)
【写真】リアリティのあるデフォルメがカッコいい!プラレール「島式ホームキット」写真はこちら!
2023年から展開が続けられている「プラレールリアルクラス」は、2024年12月現在までに10種類が発売されています。4両編成で車内表現があり、床下の機器や台車もモールドで表現されるほか、窓ガラスにはクリアパーツが使われるなど、今までのプラレールとは違うリアルなデフォルメが特徴的なシリーズです。
185系の緑ストライプ・湘南ブロック・リレー号色や、JR西日本の201系オレンジバーミリオン・ウグイス、そしてEF66形の「あさかぜ」にEF81形「トワイライトエクスプレス」など、過去のプラレールにもあったラインナップのオマージュと取れるものや、精密な造型で製品化されるのは初めてとなる車両などが評判となっています。
車両単品には枕木表現があるグレー成型のレール「リアルレール」が付属しています。これは後にリアルレールのみでレイアウトが組めるように直線と曲線がメーカー公式の通販サイトとショップで発売され、現在では通常ラインナップ扱いで量販店のおもちゃ売り場や玩具店でも購入できるようになっています。
この展開の中でリアルな情景部品の発売も望まれていたところでしたが、先日の2024年11月にリアルクラス向けのものが誕生しました。それが「島式ホームキット」です。
▲2024年11月発売の情景部品「島式ホームキット」。
プラレールの駅は過去かなりのバリエーションが発売されており、おもちゃらしい配色のものからギミック系、グレー色を基調としたリアル感のあるものまで様々ですが、今回発売された「島式ホームキット」は現時点でその究極版と言えそうです。
今までの完成品として発売されれていた駅とは異なり、組み立て式の駅となったのが特徴的です。「1/2直線レール」と同じサイズの4ホームが4つ、同じく屋根が4つ入っており、屋根を支持する柱が8本、そしてベンチが2つ、売店が1つ、階段が1つというシンプルなパーツ構成です。
島式ホームなので屋根はM字断面を持つものとなり、単品の情景部品としては1998年から2003年まで発売されていた「J-16 街の駅」以来の形状となりました。ホーム上には黄色い点字ブロックとホーム端の滑り止めが表現され、実在の駅に近くなった表現が目を引きます。
駅単体の情景としては珍しくレールが付属します。既存の「リアル直線レール」と新たなリアルレール「ストップレール(リアル仕様)」の2本が付属し、3両編成をホームいっぱいに停めることができます。
「ストップレール(リアル仕様)」はレバーがオフセットされ、互い違いに2本を設置できるように配慮された構造になりました。ストップ部も独自の改良が加えられ、列車の進入側は平坦、その先に既存のストップレールと同様にギザギザが設けられ、進入してきた車両を摩擦で減速させてから確実に停めるという、リアルレールだからこそのこだわりを感じられる設計になっています。
▲ホームのアップ。点字ブロックと滑り止めの表現が素晴らしい。
既存の車両と寸法が異なる「リアルクラス」向けの情景ですが、箱写真の車両は通常品の京浜東北線E233系と山手線E235系。今までのプラレールと一緒に遊べるというコンセプトを維持した設計が素晴らしいです。ホーム幅も広くなりました。
ホーム下の張り出しはリアルレールの枕木と干渉しないように考慮されており、「プラキッズ駅」のようにストップレールが一体となった駅とは異なりレールとホームの間隔を狭くセッティングすることが可能で、この点においてもかなりのこだわりを感じられます。
付属するステッカーは充実した内容で、注目すべきは1~10番線まである番線表示と時間を刻んだ時計の表現。複数購入して遊ぶことを前提としていると考えられ、大人もターゲットであることを改めて実感できる付属品だと言えます。
屋根の支柱が連続してしまうところや、屋根の造形が全て同一であるなど、おもちゃであるプラレールらしさを残した「島式ホームキット」ですが、プラレールファンが求めていた「駅」が登場したという事で注目度が非常に高く、発売後数日で店頭在庫を見なくなるほどの人気を誇っています。メーカー公式の通販サイトでも2024年12月上旬現在は在庫切れとなっており、近年の情景部品としては珍しい滑り出しとなりました。
「島式」と表記がある以上、相対式等の異なるタイプのホーム、跨線橋、駅舎などの駅に付随する「リアル情景部品」の発売も期待したいところですね。