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特集・コラム

【来年1月T4編成引退】ドクターイエロー923形 24年の足跡をたどる

2024.11.14

text:鉄道ホビダス編集部

‘18.10.20 山陽新幹線 岡山〜相生 P:杉本 孝之

 来年1月にJR東海のT4編成の引退、そして2027年中にはJR西日本のT5編成の引退が予定されているドクターイエロー。いよいよ残された時間はわずかとなってきましたが、ここでは登場からこれまでの活躍や人気ぶりを振り返ってみましょう。

■デビューの頃

‘00.10.5 浜松工場 P:RM

 2000年10月。それまで0系ベースだった922・921形を置き換えるべく、700系ベースの923形ドクターイエローが誕生しました。鉄道ホビダスにはそのデビュー当時の写真が残っていました。

 特に700系ベースの923形に置き換わったことで、それまでの最高速度210km/hから一気に60km/hアップの270km/hでの検測が可能となったほか、ドクターイエローのアイデンティティでもある黄色も、それまでの黄色5号より明るいフラッシュイエローをベースとしたものに変更され、より軽快な印象に変化しました。

■「のぞみ検測」と「こだま検測」

▲通過線を走る「のぞみ検測」。

‘20.9.25 山陽新幹線 相生 P:米村博行

 ドクターイエローの検測には2種類あるのをご存知でしょうか。一つは主要駅にのみ停車し、通過線を検測する「のぞみ検測」。もう一つが各駅に停車して待避線の検測をする「こだま検測」です。基本的にのぞみ検測が約10日に1回、こだま検測が約1ヶ月に1回のペースで行なわれているようです。

▲退避線に入り、その検測を行なう「こだま検測」でのドクターイエロー。

‘10.6.2 東海道新幹線 東海道新幹線 掛川 P:大谷 真弘

 ちなみに、検測ダイヤは非公開ながらも、何日に1回というようなある程度のパターンは決まっていることから、前例を元にダイヤや運行日を予測し、さらにSNSなどを駆使してリアルタイムで情報収集を行ない、ドクターイエローを「狙いに行く」という方も見受けられます。

■イベントでも大人気!大人も子供も夢中に

▲浜松工場で毎年開催されていた「新幹線なるほど発見デー2009」の様子。ドクターイエローの前は常に人だかりであった。

‘09.7.25 浜松工場 P:竹内正行
(鉄道投稿情報局より)

 事業用車両のくくりでありながら、その見た目のインパクトから子供たちやレイル・ファンではない一般層からの知名度も高いドクターイエロー。グッズやおもちゃ、Nゲージなど各種製品にもなるほどの人気ぶりで、車両基地のイベント時に公開されるとやはり一番の注目の的となります。
 さらに近年では乗車体験イベントなども不定期で開催されており、それまでは運行中のドクターイエローに乗ることは滅多に叶わなかった中、一般旅客であっても乗って体験することができるようになりました。

■営業車両に検測機器を搭載することに

▲これからは営業列車に検測機器が搭載されることとなる。写真はN700S J15編成。

’21.5.24 東海道新幹線 静岡~掛川 P:大谷真弘
(鉄道投稿情報局より)

 そんな人気のドクターイエローでしたが、デビューから20年近くが経過し、ベースとなる700系もすでに東海道新幹線から引退。2020年代に入るとレイル・ファンの間ではドクターイエローの車両更新についてさまざまな予測がなされました。
 2019年にはJR東海がN700S営業車両によって、毎日高頻度に検測を行なえるようにすると発表されます。これは実質的にドクターイエローの後継装備である上に、それまでは1回の走行でまとめて検測していたものを、高頻度で毎日検測をするスタイルへと変化したことになります。さらに測定装置の進化でより目視で確認していたところも機器による測定が可能となり、安全性と省力化を同時に実現できるようになりました。

■そして正式に引退発表へ 後継車はなし

 2023年6月、ついにJR東海・JR西日本両社からドクターイエローの引退が発表されました。JR東海所属のT4編成は2025年1月に、JR西日本所属のT5編成も2027年を目処に引退する予定です。
 また、気になる後継車に関してはやはり登場予定はなく、最終的には全て営業列車による測定へと今後は切り替わっていくことになります。

‘15.9.14 山陽新幹線 姫路〜相生 P:中間 弘久

 JR東海の編成はもうあと僅かで引退し、いよいよドクターイエローも最終章となります。最後まで無事に運行を全うしてくれることを願うばかりです。


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