text & photo:皆越和也
取材日:’24.10.23 場所:姪浜車両基地
取材協力:福岡市交通局
2024年10月23日、福岡市交通局の地下鉄空港線・箱崎線用新型車両4000系の報道見学会が姪浜車両基地において行われました。
▲シンプルを旨としたような形状・塗分けが新鮮。
この4000系は1981年に福岡市地下鉄が開業した際に導入した1000系(現1000N系)を置き換えるために今年の初夏から導入。4年間で6両編成が今年度は12月までに3編成、来年度以降年度ごとに5編成ずつ合計18編成を導入予定です。
▲機能本位で極めて大型の前面窓ガラスを持ちます。
4000系は切妻の先頭形状をしており、運転士の良好な視界を確保。これまでの車両で採用しているブルーのラインを継承しました。また窓周りには「空の玄関口」福岡空港と希望の未来をイメージしたスカイブルーを配しました。
▲客扉上に3画面の案内表示器(モニター)を装備。
▲扉間のロングシートは通常7人掛けとなるところを6人掛けとしてゆったりしたシート幅を実現。
インテリアでは、3画面の案内表示器を設置し、2画面は路線図・次駅等の運行案内、もう1画面はニュース・広告用としています。ドア間のシートは6人掛けでひとりあたりの座席幅が通勤車として国内最大の480mmとしています。また袖仕切りや荷棚、車両間のドアなどにガラスを使用し、明るく広がりを感じられる空間としています。
▲編成中1ヶ所のフリースペース、その片側は窓下辺を切り下げた大型窓を持ち、車いすやベビーカー乗車の乳幼児でも眺望を楽しめます。
▲フリースペースのもう片側は2人掛けシート×2として空いたスペースにトランクなどを置けるようになっています。
福岡空港寄りの6号車の運転席寄りにはフリースペースを設け、子ども連れやベビーカー、車椅子の利用客、キャリーバッグ等の大きな荷物を持った客が快適に利用できるように、フリースペースを設けました。フリースペースの窓は1枚だけ1236×1720mmと大型で、UV加工を薄くして視界を良好にし、JR線区間の海岸線展望も快適になりそうです。しかも窓の最も低い位置は床から850mmの高さと、幼児でも立って景色が見えるようにしています。
▲優先席が2種類あり、こちらの緑色モケットの方は通常のシート。
▲こちらの黄色のシートは「立ち座りしやすいシート」。
優先シートには通常の仕切りのない3人掛け(緑色)の他、座面を60mm高くし仕切りとなる肘掛けを設けた”立ち座りしやすいシート”(黄色)の2種類を設定。ベビーカー・車椅子のスペースには介助者が休憩できる腰掛け(ヒップレスト)を設置。優先席の対象に「小さな子ども」を追加し、ピクトグラムも製作して表示しています。
また車端部の非常ドアは縦長のガラスとなっており、その後部の客室と乗務員室を隔てるドアにも縦長のガラスを採用。子どもも先頭からの風景が楽しめるようにしています。
各車両には4台の車内防犯カメラを設置し、セキュリティーの向上を図りました。映像は乗務員の他、交通局の職員がリアルタイムで遠隔監視でき、迅速な状況把握が可能です。非常通報があった場合は、運転台でその通報があった場所のカメラ画面が確認でき、すぐに通話ができるようになっています。
▲運転台は3画面モニター、片手ワンハンドルマスコン方式。
運転席のモニターは車両すべての情報がチェックでき、2000N系から導入されたワンハンドマスコンには誤作動用のストッパーを付けました。
▲台車はリンク式片軸舵台車となっています。
4000系は既存車両で採用している誘導モーターよりもさらに高効率で使用電力を20%程度低減した同期リラクタンスモーターを採用。営業列車としての本格導入は世界初となります。
また台車はすべてリンク式片軸舵台車を採用。カーブに合わせて車軸が可動することで、曲線通過時の走行安全性を向上。スムーズに曲線を通過できることで、走行音を低減しています。
▲左手の大型窓がフリースペース部分で、右手の通常の窓と比べるとその天地幅の大きさが分かります。
なお10月27日11時30分〜14時30分、姪浜駅において4000系の一般見学会(無料)を予定しています。
また同日10〜16時には七隈線橋本車両基地において「地下鉄フェスタ2024」(入場無料)が開催予定です(4000系のパネル展示あり)。