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祝!開業60周年 プラレール歴代東海道新幹線アニバーサリー商品を振り返る!

2024.10.04NEW

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は先日開業60周年を迎えた東海道新幹線を記念して登場した「新幹線開業60周年記念 0系新幹線ひかり1号&超特急ひかり号セット」を軸に、これまでのアニバーサリー商品達を一気に振り返ります!(編集部)


【写真】アニバーサリーイヤーに発売された歴代0系の写真はこちら!

 2024年10月1日、東海道新幹線が開業60周年を迎えました。これを記念して、開業初日の一番列車である「ひかり1号」を再現した0系と、プラレールの初代電動新幹線「超特急ひかり号」をイメージした赤白塗装の0系をセットにした「新幹線開業60周年記念 0系新幹線ひかり1号&超特急ひかり号セット」が9月28日に発売されました。
 「超特急ひかり号」は、同時期に発売された手転がしの4両編成「プラスチック夢の超特急」と共に、プラレール初となる日本国内の実在車両を製品化したものとしてその歴史に名を残しています。モデルとなった0系新幹線は長期に渡り製造・運用されてきたため、100系や200系が登場した後もたびたび製品化され、本連載でも何度か取り上げているように多くのバリエーションが存在しています。特に東海道新幹線のアニバーサリーイヤーでは起用される機会に恵まれています。今回はそのうち、40周年と60周年のアニバーサリーイヤーに発売された製品と0系新幹線にフォーカスしていきます。

▲40周年と60周年のアニバーサリー商品。

 1963年に発売された「プラスチック夢の超特急」に続き、1964年に最初のプラレール新幹線「電動超特急ひかり号」が発売されました。これらはどちらも白いボディに赤い台車という、実車とはかけ離れた外見です。なぜこのようなカラーリングとなったかについての詳しい話は伝わっていませんが、「窓周りの塗装技術がなかったため、初期塗装案をベースにアレンジを加えた」「赤い樹脂の価格が安かった」といった説が推測されています。60周年セットが発売された際のメーカーの公式見解では「赤色が子どもに人気だったから」とされています。
 開業10周年を迎えた頃のプラレール0系は実車同様のカラーリングに変更されていましたが、ラインナップ再編と商品展開の充実の時期からあまり時間が経っていなかったからか、この時は特に祝われることはありませんでした。
 開業20周年を翌年に控えた1983年、プラレールとしては初となるアニバーサリー商品「ライト付東海道山陽新幹線セット」が発売されます。車両は単品同様の「ライト付ひかり号」ですが、スラブ軌道の高架線を再現したリアルなレールが付属しました。
 30周年となる1994年には特に何も発売されませんでした。当時新型の300系がデビューしてから日が浅く、単純に「新型新幹線のぞみ号」として商品展開が可能だった事に加え、90年代末期以降のように「車両セット」もまだ存在しない時期であったため、どのような形でアニバーサリー商品を発売するか定まっていなかったものと考えられます。
 5年後の1999年は新幹線開業35周年の年であり、同時にプラレール40周年の年でもありました。プラレール40周年は盛大に祝われ、その一環として500系と0系が入ったオールインワンセット「親子で遊ぼう!!新幹線セット」が発売されています。新幹線35周年を祝う製品ではありませんが、この時「超特急ひかり号」が復刻されています。

▲40周年の「さよなら運転」仕様と60周年の「ひかり1号」仕様。20年の時を経て一番列車と最終列車がどちらも製品化された。

 開業40周年の2004年に発売された「東海道新幹線開業40周年記念スペシャルセット」は大きな話題を呼びました。さよなら運転仕様の0系・100系と、2003年から行われていた「AMBITIOUS JAPAN!」キャンペーンのラッピングが施された700系の3編成のセットです。
 特に0系が今までの「ニューひかり号」タイプから、小窓車の2000番台をモデルとしたリアルな金型で登場したことが注目を浴びました。先頭・後尾には最終運転日を記載した装飾が印刷で表現され、2004年当時からすると記憶に新しい東海道新幹線0系の最後の姿を忠実に再現しています。以前の連載でも取り上げたように、この2000番台タイプは2008年に0系が完全に引退する時の記念商品でも使われるなど、0系としてスタンダードな金型となりました。側面に大きなJRマークが付いたJR東海仕様、引退記念セットの原色5両編成、その後発売された車両セットの6両編成と、フレッシュグリーンの3両編成・6両編成があります。
 50周年となる2014年は東京駅の開業100周年の年でもあったため、双方を記念する「ライト付0系新幹線と東京駅セット」が発売されています。0系は開業当初の大窓車を再現した新規造型となり、往年の「ライト付ひかり号」と同じく前照灯と「鼻」が光るものとなった事で大評判となりました。中間車は一等車の16形となり、ドアの枠がしっかりと金色に塗られているのも注目ポイントです。この大窓車は後にプラレール博などのイベント限定の車両単品としても発売されています。

 そして今年2024年、ついに新幹線が還暦を迎えました。冒頭で述べた「新幹線開業60周年記念 0系新幹線ひかり1号&超特急ひかり号セット」は特に気合が入っているセットで、開業日の一番列車「ひかり1号」を忠実に再現したものと、復刻版「超特急ひかり号」の2本が入っています。
 「ひかり1号」は10年前に登場した大窓車をベースに、当初から造型されていた号車札と座席指定サボのモールドに印刷を施し、先頭車・中間車には「ひかり1号」のサボが貼られ、運転台窓と乗務員扉には「H2」の編成番号も印刷されているという、現時点におけるプラレール0系新幹線の最高グレード仕様となりました。対して復刻版「超特急ひかり号」は、大窓車の車体を白と赤に塗り分けたシンプルなもので、細かい造型にプラレールらしい色が塗られているというユニークな仕上がりになりました。ただ、「ライト付」の型を使っているもののどちらともライト点灯機能が無いのが少々もったいなく思えます。

 「電動プラ汽車」(1961年)から始まったプラレールの電動車展開を完全に確立させた0系新幹線、日本を代表する鉄道の初代車両であると同時に、同じく代表的な鉄道玩具のプラレールの方向性を定めた重要な車両でもあります。今後の商品展開にもまだまだ期待が持てそうです。

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